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「日本では失礼で邪魔」 先生の前を横切った女子生徒が…「自由すぎて驚いた」 怒られないアメリカの授業風景

公開日:  /  更新日:

著者:Yo

アメリカの語学学校では、授業を受ける生徒の“自由さ”にびっくり!(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
アメリカの語学学校では、授業を受ける生徒の“自由さ”にびっくり!(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 日本には、お昼休みまで待ち切れずにお弁当を食べてしまう「早弁」という言葉がありますが、授業中におやつを食べるとなると話は別です。比較的自由な大学でも、講義中に堂々とお菓子を広げる光景は珍しいでしょう。しかし、海外では少し違うようです。6月下旬からアメリカ・ロサンゼルスに住むYoさんが、アメリカ暮らしの実情を綴るこの連載。第4回は、日本の“マナー違反”が広がる、語学学校の授業風景を紹介します。

 ◇ ◇ ◇

授業中の飲食は普通 ゴミ箱もお菓子の袋でいっぱい

 授業開始から30分ほど過ぎた午前9時。台湾人の女子生徒が教室に入ってきました。先生の目の前を横切っても、何も言われません。さらに、一番前の席で持ってきた紙袋を広げ、クロワッサンを取り出しました。カフェラテと一緒に、ボロボロとこぼしながら頬張り、食べ終わるやいなや再び先生の前を横切ると、ゴミ箱にポイッと紙を捨てたのです。

 彼女は席につき、ようやく教科書を開きました。日本ではあり得ない光景ですが、ここではこれが日常です。クラスは20代前半が多く、友達同士でスナック菓子の袋を開け、授業中にもかかわらず、自宅でくつろぐように過ごしています。そのため、教室のゴミ箱は、サンドイッチやお菓子の袋でいつもいっぱいです。

 日本にも「早弁」の文化はありますが、堂々と机に広げたり、先生の目の前でむしゃむしゃと食事をしたりする人は珍しいしょう。学校を卒業したあとも、何かのセミナーや趣味で通う英会話教室、自動車教習所など、いわゆる授業の形をとるものは真面目に机に向かいます。

 しかし、ここでは先生が「みんなで食べて!」と、授業中にお菓子を配るなんてことまであります。そんな先生に、自由に食事をしてもいいのか聞くと「別にいいのよ。先生によるときもあるけど、私は何も気にしない。ここではフレキシブル。それぞれの責任だから」と事もなげです。

先生が授業中に配ったお菓子【写真:Yo】
先生が授業中に配ったお菓子【写真:Yo】

「日本では先生に失礼、ほかの生徒の邪魔になるというのもわかる。アメリカでも小学校、中学校はルールがあるからもっと厳しいし、ここと同じことをするのは良くないでしょうね。でも、高校、大学ではフレキシブルになるの。ごく普通のことなので気にならないわ。ただし、もしほかの生徒が気にするのであれば、積極的に注意するわね」

台湾男子も驚き「ここは自由すぎ」

 筆者が通う語学学校には、長期休みを利用して留学する高校生もいますが、大半が成人しています。先生は「彼らは大人だから。やりたいようにやらせてあげればいい」と強調していました。成績の良し悪しは自己責任。ただ、私語が多く、声のボリュームが大きくなれば授業の邪魔になるため、軽く注意をしています。

 台湾の男子生徒は「台湾では学校によるけど、高校くらいからはOKかな。中学までは厳しい。もちろん水分をとるのは問題ない」と明かし、「ここは自由すぎて少し驚いたよ」と笑っていました。

「私が怒るところは見たことないでしょ?」と話す先生。しかし、話を聞いた翌日、「これにはイライラする!」と1枚のプリントを見せられました。それは、ライティングの授業で生徒が提出したもの。薄い緑の蛍光ペンで書かれた小さな文字が、びっしりと詰まっていました。「ふぅ……」と目をこすってチェックするのは、授業中に飲食をされるより、よっぽどタフなシチュエーションだったようです。

(Yo)

Yo(ヨウ)

新聞社に5年、ネットメディアに6年勤め、スポーツを中心に取材・執筆・編集活動をしたのちに退職。30代半ばでアメリカ・ロサンゼルスに拠点を移した。大学時代はバックパッカーとしてアジア、南米を放浪。仕事を含めて20か国近く訪れたものの、意思ばかり伝えてリスニングが苦手な一方通行イングリッシュに終止符を打つべく、英語習得にも励んでいるところ。