食
新米と古米の栄養は違う? プラスすると栄養が強化される「かさ増し」食品とは
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実

新米の季節を前に、引き続き高騰が懸念される米。すでに備蓄米を食卓に取り入れている人も多いと思いますが、新米と栄養面で何か違いがあるのでしょうか。また、ごはんに足すと栄養バランスが整う「かさ増し」に向く食品はあるのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
◇ ◇ ◇
ごはんの主な栄養は炭水化物
結論からいうと、新米と古米などの備蓄米で、栄養面に基本的な違いはないといわれています。大きな違いは、新米のほうが古米よりも水分量が多いため、炊きあがりがみずみずしく、やわらかくふっくらとした食感と香りがあることです。
新米にしても備蓄米にしても、白米とは「精白米」のことで、収穫された稲の実から籾殻やぬか層、胚芽を取り除き、胚乳部分だけを残したものです。白米の主な栄養素は、炭水化物。このほか脂質、たんぱく質、ビタミンやミネラルを含みます。
炭水化物は、糖質と食物繊維に分けられますが、白米の場合は糖質がほとんどです。糖質は、体内でブドウ糖に分解されて、私たちが活動するためのエネルギー源になります。
したがって、栄養バランスの良い食生活にするためには、ごはんだけではなく、さまざまな食材を主菜や副菜に取り入れることが大切です。とくにたんぱく質、ビタミンB1、食物繊維が不足しがちなので、プラスしていくと良いでしょう。
ごはんのかさ増しに向く食品とは
たとえば、少ないごはんでも、かさ増しすることで満足感が高まり、不足しがちな栄養素も補うことができます。手軽に取り入れやすい食品を、いくつかご紹介しましょう。
○もち麦や押し麦
白米に比べて食物繊維が豊富で、とくに水溶性食物繊維のβグルカンを含みます。食後の血糖値の急激な上昇を抑えたり、腸内環境を整えたりする働きがあるといわれています。白米と一緒に混ぜて炊くだけで、もち性大麦であるもち麦はもちもちプチプチとした食感に。うるち性大麦である押し麦は、さっぱりとした食感になります。いずれも、よく噛んで食べる習慣につながるでしょう。
○雑穀ミックス
あわ、ひえ、きび、黒米などがあります。ビタミンB1やミネラル、食物繊維を含み、白米だけでは補い切れない栄養をサポート。市販の雑穀は、洗わずにそのまま使えるタイプも多いので手軽です。また、スーパーフードと呼ばれるキヌアは、たんぱく質や食物繊維、鉄分を含むことで知られています。
○キノコ類
シメジ、エノキダケ、マイタケなどは低カロリーながら、食物繊維やビタミンD、グアニル酸などのうま味成分を含む食品です。ごはんに加えることで、ボリューム感と栄養を同時に補えます。とくに不溶性食物繊維が豊富で、腸の働きを整え、便通の改善にも役立つでしょう。また、ビタミンDはマイタケに多く含まれており、カルシウムの吸収を助ける栄養素として知られています。価格が比較的安定しているので、買い置きして冷凍保存しておくと便利です。
○しらたき
低カロリーで、ほとんどが水分であるため、ダイエット中の方や血糖値が気になる人にも適した食品です。栄養価は高くありませんが、グルコマンナンという食物繊維を含み、細かく刻んでごはんに混ぜることでかさが増して、食べ応えが出ます。見ためや食感の違和感も少なく、満足感アップに役立つでしょう。
○枝豆
市販の冷凍されたものを、上手に活用しましょう。大豆が未熟な状態で収穫された枝豆は、良質なたんぱく質のほか、βカロテンやビタミンC、葉酸を含んでいます。カルシウムやカリウム、鉄などのミネラルを含むのも特徴です。ごはんにプラスすることで、彩りも華やかになります。
このほか、好みの野菜や具材を加えたチャーハンやピラフ、雑炊、リゾットなどにすると、少ないごはんでも食べごたえがあり、満足度も上がります。米の高騰が気になる昨今。これらのかさ増しを上手に取り入れて、やりくりしていきたいですね。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾