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カレーでよく見る「ナン」はインドにない? 三角形も日本独特 意外に知らない“本場”の事情とは

公開日:  /  更新日:

著者:中谷 秋絵

日本人が思い浮かべるインドカレーとナン(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
日本人が思い浮かべるインドカレーとナン(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 日本人なら誰もが知っている、インド料理店の定番「ナン」。実はこれ、インドではまったく見かけないのだとか。さらに、「カレー」もインドにはないといいます。“本場”のインド料理は、日本で慣れ親しんだものとはまったく別物だそう。インド研究家で旅するライターの中谷秋絵さんが、日本とは違いすぎる現地のインド料理を紹介します。

 ◇ ◇ ◇

日本のナンは、インドには存在しない?

 大きなナンとバターチキンといえば、日本のインド料理店で定番のメニュー。実は、インドではそれほど多くナンを食べません。

 ナンはもともと、ムガル帝国時代の宮廷料理のひとつで、発酵させた小麦粉の生地をタンドール窯で焼いたもの。インドにおいて、宮廷料理は今も高級料理として、レストランで提供されています。

 そのため、ナンは日常的に食べるものではなく、高級レストランでたまに食べる程度のものなのです。

 一般家庭で食べられる主食は、「チャパティ」という全粒粉を使った無発酵のパン。精製された小麦粉より全粒粉のほうが安価で、家庭のコンロでフライパンを使って作れるため、庶民の味として広く親しまれています。

チャパティ(下)とおかずがのったターリー(定食)。全粒粉の優しい甘みが感じられるため、筆者はナンよりチャパティが断然好き【写真:中谷秋絵】
チャパティ(下)とおかずがのったターリー(定食)。全粒粉の優しい甘みが感じられるため、筆者はナンよりチャパティが断然好き【写真:中谷秋絵】

 そもそも、一般家庭にはタンドール窯がないため、ナンは家で作れる代物ではないのです。

デリーの人気レストラン「Karim's Hotel」で食べた丸いナン【写真:中谷秋絵】
デリーの人気レストラン「Karim's Hotel」で食べた丸いナン【写真:中谷秋絵】

 しかも、インドのレストランで見かけるナンは、丸い形がほとんど。日本の細長い三角形のようなナンは見たことがなく、なぜあの形が日本で普及したのかは謎です。