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「良い方法だなぁ」 日本人ママが驚いた、アメリカのホームスクール事情 ママ友からすすめられて少し誇らしくなったこととは
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日本で子育てをしていると、子どもは学校に通うのが当たり前と思ってしまいませんか? 学校で学び、放課後は塾や習い事に通う。多くの家庭にとって、それがスタンダードな教育の形です。8歳の男の子と6歳の女の子をハワイで育てる主婦ライター・i-know(いのう)さんによると、ハワイでは学校に通わせるか、または家で学ばせるかを、親が選べるそう。第68回は「アメリカのホームスクール事情」についてです。
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なぜ家で学ばせる?
ハワイでは、2020年のコロナ禍をきっかけに公立学校がオンライン授業に移行すると、ホームスクールが一時的に広まりました。その後、状況が落ち着き通学が再開すると、ホームスクールを利用する子どもの数はコロナ禍前と同レベルまで減少。しかし、最近はその数が、少しずつ増えているようなのです。
では、なぜホームスクールを選ぶ人が増えているのでしょうか。全米教育統計センター(NCES)の調査を見てみましょう。この調査は、アメリカの義務教育であるキンダーガーテンから12年生(日本では幼稚園の年長から高校3年生にあたる)までのホームスクールを行っている子どもの保護者を対象にしたものです。
最も多かったのは、「学校の環境・雰囲気に問題がある」(83%)という回答でした。ほかにも、「道徳的な指導を自分で行いたい」(75%)、「家族の時間を大切にしたい」(72%)、「学校の学業指導に満足していない」(72%)といった意見が目立ちます。
日本のようにとりあえず学校に通わせるのではなく、子どもにとって最善の教育環境はどこかを家庭ごとに判断しているのが印象的です。
ハワイで聞いたリアルな声
私の身近では「学校の学業指導に満足していない」という理由で、ホームスクールを選ぶ家庭が少なくありません。ハワイは全米50州のうち、中の下の学力レベルといわれています。
ホームスクールであれば、オンライン授業を通して、アメリカ本土の高いレベルの教育を受けることが可能に。家庭で学ばせたほうが、教育効果も高いのではないかと考える保護者もいるようです。
個人的に「良い方法だなぁ」と感心したのは、ハワイのあるトップ私立校が使っている教材を販売する会社から、年間約1000ドル(約15万円)で同じ教材を購入できる仕組みです。これなら、高い学費を払って通学せずとも、自宅で同じ勉強をさせることができます。
また、あるママ友はタブレット学習を取り入れているようで、「Smile Zemiっていうタブレット学習は最高! 子どもが食いつくように勉強してくれる」と言っていました。どこかで聞いたことがある名前だなぁと思いつつ、そんなに良いならうちも……と検索してみると、なんと日本の通信教育サービスの英語版。まさか海外で日本発のサービスに出合うとは思わず、ちょっと誇らしくなりました。
アメリカでは、ホームスクール家庭に対して税控除や減税措置が用意されている州もあり、「ホームスクールも案外悪くないのかも」と心が揺れることもあります。それでも、子どもたちが学校に行っている間の“おひとり様タイム”だけは、やはり手放せません(笑)。
コロナ禍を経て、アメリカのホームスクールは、特別な家庭だけの選択肢から、誰もが選び得る選択肢へと変わりつつあることを感じます。日本ではまだなじみの薄い制度ですが、教育の多様性や親の考え方の自由度という点で、おおいに学ぶ部分があるのかもしれません。
(i-know)
