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イタリア人が5年で50種類もマスター 「落ち着きのない子ども」が運命的な出会いから魅了された、日本の伝統文化とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

イタリア・ペルージャ在住のエマヌエル・ルベッリーニさん【写真:Hint-Pot編集部】
イタリア・ペルージャ在住のエマヌエル・ルベッリーニさん【写真:Hint-Pot編集部】

 折り紙は、1枚の紙から無限の可能性を生み出す、日本の伝統文化です。美しさに魅了され、訪日外国人のお土産としても親しまれています。あるイタリア人男性は、折り紙との出合いで人生が大きく変わったそう。いったい、どんなことがあったのでしょうか。

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日本語学習への情熱から実現した、念願の訪日

 イタリア・ペルージャで暮らす、エマヌエル・ルベッリーニさん。2019年から独学で日本語を学び始め、コロナ禍の期間も学習に励みました。そして、2023年には日本語能力試験N4に合格。2024年に念願の初訪日を果たしました。

 2週間にわたる日本滞在では、関西の京都や大阪、奈良から関東の東京、新宿や秋葉原まで、各地を精力的にめぐりました。さまざまな日本独自の文化に触れ、より日本が好きになったといいます。

5歳のときの運命的な出会いが人生を変えた

 現在、イタリアで「折り紙&くす玉」アーティストとして活動しているエマヌエルさん。なんと、イタリアで折り紙の展覧会を開くほどの腕前だそうです。折り紙を始めたきっかけを聞くと、懐かしそうな表情を浮かべました。

「折り紙を折るようになったのは、5歳のとき。話せば長いストーリーなんですが、僕はとても落ち着きのない子どもだったんです。クラスルームから出されてしまい、廊下に立たされることがありました」

 そんなエマヌエルさんの人生を変えたのは、学校の用務員さんとの出会いでした。廊下にひとり立たされているエマヌエルさんを見かけた用務員さんは、ある特別な方法で落ち着かせてくれたといいます。

「いつも折り紙で船を折ってくれて、僕に教えてくれました。それが、僕にとって初めての折り紙でした。用務員さんは僕をいい子にさせるために、折り紙を教えてくれたんです」

5年間で覚えた50種類もの折り紙

エマヌエルさんの芸術的な折り紙作品【写真提供:エマヌエル・ルベッリーニ】
エマヌエルさんの芸術的な折り紙作品【写真提供:エマヌエル・ルベッリーニ】

 エマヌエルさんは折り紙の持つ不思議な力に魅了され、あっという間に虜になっていきました。

「ときどき僕は、わざとうるさくして先生に怒られて、廊下に出て、折り紙を学んでいました。10歳の頃には、50種類の折り紙を折ることができるようになっていました」

 折り紙は単なる遊びではなく、集中力や忍耐力、空間認識能力を育む、優れた教育ツールとしても知られています。そんな長く愛され続ける日本の伝統文化が、国を越え、ひとりの少年を大きく成長させました。

 折り紙と出合い、アーティストとしての才能も開花させたエマヌエルさん。作品はどれも繊細で美しく、日本へのリスペクトが伝わってきます。

(Hint-Pot編集部)