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「あれはちょっと不思議だよね」 イタリア人が驚いた日本独特の習慣 母国とは異なる初対面の作法とは
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繊細さと礼儀正しさで知られている、日本のビジネスマナー。研究実習のためにイタリアから日本へ来たことがある大学生は、日本の研究施設で体験した初対面のあいさつに戸惑いを感じたそうです。母国では「会ったらすぐ拍手したり、抱き合ったりする」という環境で生活。「不思議」と感じた日本の作法とは、どんなものだったのでしょうか。
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世界的に評価される日本の研究者たちとの出会い
イタリア・トリエステ在住のガブリエレ・バルトニーニさんは、物理学を専門とする大学生です。2023年8月末から9月初めにかけての約1か月、総合研究大学院大学の奨学金プログラムで、初めて日本を訪れました。
幼少期から日本のアニメや漫画に親しみ、日本文化に強い興味を持っていたガブリエレさん。今回の滞在では、原子物理学分野での光の制御技術や、水素燃料電池車のような最先端技術に感銘を受けたといいます。
「日本の教授たちの歓迎は本当に素晴らしかったよ。日本の教授ってすごく優秀で、世界的にも認められていて、信頼されているんだ」
日本と欧米の人間関係の違いについても、興味深い観察をしています。
「日本では先生がすごく敬われていて、みんな『先生』って呼ぶのもポジティブな印象だね。先生と生徒の上下関係がはっきりしているけど、欧米ではもっとフラットで、先生と生徒でも友達みたいな感じなんだよ」
初対面でのあいさつの仕方に戸惑い
研究施設での充実した日々を過ごしたガブリエレさんですが、ひとつだけ戸惑ったことがあったそうです。それは、日本独特といえる初対面でのあいさつの作法についてでした。
「日本の教授たちには本当に敬意を持っているから、(自分は)外国人だけど失礼にならないように、事前にいろいろ調べて気をつけていたんだ。とくに文化の違いを感じたのは、名刺交換の習慣かな。あれはちょっと不思議だよね」
日本の名刺交換には、独特のマナーがあります。相手より低い位置で差し出す、両手で丁寧に受け取る、すぐにしまわずにじっくりと読む、相手の名刺を大切に扱う。これらの作法は、相手への敬意を示す重要な儀礼として定着しています。
「イタリアだと、会ったらすぐ拍手したり、抱き合ったりするから、アプローチが全然違うんだ」
慣れない作法に四苦八苦しながらも、教授たちは寛容に受け入れてくれたと振り返るガブリエレさん。卒業後はドイツの大学院で研究を続ける予定ですが、日本での経験は彼の研究者人生にとって貴重な財産になったことでしょう。
小さな紙片に込められた、相手を尊重する日本の心。最初は不思議に見えても、やがては国境を越えた信頼関係を築く第一歩となるのかもしれません。
(Hint-Pot編集部)
