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「作ったワンピース着てくれたんだけど、うちのばあちゃん似合いすぎ…」 孫が作った一着に込められた思い 深い赤色に大反響「上品さがにじみ出て…とても素敵」
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孤独のなかで針を進めながら思い浮かべた、幼い日の記憶

服飾系の専門学校を卒業している恒川さん。現在は福岡県で、宿泊できる喫茶店を経営しています。おばあちゃんが着ていたワンピースは、服作りを始めた当初から、こつこつと作り続けてきた一着だといいます。
「当時、上京したばかりで、次の日のごはん代も家賃も払えないような生活をしながら、ただひたすらにミシンに向かっていました。孤独のなか、針を進めながら思い浮かべていたのは、幼い頃の記憶でした」
ワンピースはおばあちゃんの好みを再現したものではなく、幼い頃に感じていた、目に見えない温もりを思い出すための服でした。「懐かしさと安心、そして少しの寂しさを、布と糸で形にしました」と、恒川さんは振り返ります。
2017年からアップデートを繰り返す、こだわりの一着

ワンピースは、2017年秋冬からアップデートを繰り返しながら、作り続けているものだそう。コーデュロイを生地に選び、襟元と袖口のフリルは、日常の中にも小さな華やかさを添えたいという思いでデザインされました。ときには恒川さん自ら着用し、揺れ方や動きなども確認を繰り返しているといいます。
恒川さんが目指したのは、単に似合うだけではなく、落ち着くと感じる形。そんな思いが、この一着に込められています。実際に着てもらうと、おばあちゃんはかわいらしい反応を見せたそうです。
「じいちゃんの四十九日で帰省したときに着てもらいました。着た瞬間、少し照れくさそうに笑っていました。日常をほんの少し特別に変える服の力を改めて感じました。ばあちゃんの歩く後ろ姿や、揺れるワンピースを見ながら、もしじいちゃんが見ていたらどんなふうに見ていたんだろうか……と思いながら、写真を撮りました」
恒川さんにとって、お母さんやおばあちゃんはミューズのような存在。そのため「作る服は着てもらいたい」と思っており、このワンピースは「今の自分の原点です」と語りました。インスタグラム(tsunekawa_)でも、素敵な作品が紹介されています。
(Hint-Pot編集部)