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「フライングで紅葉狩り」 京都・祇園の古美術店店主が語る 紅葉の季節に映える京焼の魅力
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京焼と卓上の秋景色

――今回選んでくださった京焼の1枚は「今使うべし!」というお品ですよね。
「この頃は紅葉の時期も遅れがちなので、ちょっと気分だけでも先取りしようかなと思ってこちらを選びました(笑)。明治時代の京焼紅葉図小皿です。直径11.5センチほどですが、ちょっとした副菜を盛るのにちょうど良いサイズです。
過度な装飾がないものが多いので中央に和菓子を乗せたりしても喧嘩しません。京焼は上品でかわいらしい柄も多いので私のお店でも一番人気なんですよ。今回は紅葉の赤に映えるのは緑かなと思って、春菊としめじの煮浸しに菊をあしらって秋を表現してみました。どうでしょう? フライングで紅葉狩りになっていますかね?」
――ますます紅葉を見に行きたくなってきました。毎年どこかに紅葉は見に行くのですか?
「いや、それが住んでいると『今年はここへ見に行こう』とはならないですね(笑)。でも寒くなってくると、紅葉を見ながらおぜんざいを食べに永観堂のお茶屋さんとかには行きますよ。そうそう、京焼には素敵なお抹茶椀もたくさんありますよ」
一段と秋深まる京都を訪ねて、紅葉で眼福、おぜんざいで口福を感じながらお気に入りの焼き物探しをしてみてはいかが?
【参考】
「日本陶磁大系26京焼」河原正彦(1990年/平凡社)
(豊嶋 操)
豊嶋 操(とよしま・みさお)
全国通訳案内士・医療通訳・薬剤師。医療系出版社に勤務後、通訳案内士となる。プライベートツアーや企業視察時のガイドだけでなく、国内外テレビ局の日本紹介番組にて通訳を担当。『ニッポンおみやげ139景(KTC中央出版アノニマ・スタジオ)』を出版後、TBSラジオ出演。現在はガイド・ツアープロデューサーとして活動の傍ら、「美食地理学」の構築にも取り組んでいる。
