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「器は額縁、お料理は絵」 京都の古美術店店主が教える 初めての骨董にふさわしい器とは
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料理をよりおいしく見せてくれる器は日々の食卓をちょっと豊かにしてくれます。初めて骨董を暮らしに取り入れるなら、どんな器から始めれば良いのでしょうか? 全国通訳案内士として訪日外国人を各地に案内しているうちに陶磁器に魅了された豊嶋操さんが、京都の祇園で古美術店「観山堂」を営む八木美由紀さんに話を伺いました。
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初めての骨董の器を選ぶなら「なます皿」
約45年前に父が始めた古美術店を継ぎ、店主として買いつけなども行う八木美由紀さん。江戸~明治期に作られた陶磁器や漆器、茶道具などコレクター向けだけではなく、普段の食卓に取り入れやすい手ごろな骨董もそろっています。
――古伊万里を中心に京焼、瀬戸焼、民平焼(※民は王へんに民)がたくさんありますね。“古”がつくのは江戸時代に作られたものでしたっけ?
「お店としての出発点が古伊万里なので、一番多いのがその辺りですね。お店によっては明治時代の物を含めるところもありますけれど、基本的には江戸時代に佐賀県有田町とその周辺地域で作られた陶磁器ですね。白い素地に藍色の呉須(コバルトを主とする顔料)で絵付けをしたうえ、透明な釉薬をかけた染付は目にする機会も多いのではないかと思います」

――初めて古伊万里の器を選ぶとしたらどういったものが良いですか?
「イチ押しは、なます皿です。直径15センチ前後の中皿ですが、深さもあって本当に使い勝手が良いんですよ! なますと名づけられた通り、もともとは生魚や肉、野菜を酢で和えた料理を盛るためのものなので、少し汁気のあるお料理にも適しています。取り皿としても良し! 私は夏には茹でたとうもろこしを3つくらいに割って、よく染付のなます皿に盛りますね。染付の藍色ととうもろこしの黄色が夏らしいコントラストです」