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「ちょっと怖いと思っているのかな」→「うれしいことでした」 イタリア人が実感した日本人の特徴 日本語で話しかけたときに見られた意外な反応とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

2度の訪日経験がある、イタリア人のミケーレ・パパーニョさん【写真提供:ミケーレ・パパーニョ】
2度の訪日経験がある、イタリア人のミケーレ・パパーニョさん【写真提供:ミケーレ・パパーニョ】

 訪日外国人が日本で生活する中で、日本人との交流は避けて通れません。とはいえ、文化や習慣の違いから、コミュニケーションに戸惑うことも多いようです。2度の訪日経験を持つイタリア人のミケーレ・パパーニョさんは、日本での滞在を通じて、いったい、どんなことを感じたのでしょうか。

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公の場での静けさに驚き

 ミケーレさんが日本に興味を持ったのは、弟から紹介されたアニメ「進撃の巨人」がきっかけでした。それから「ファンタジーの世界だけではなく、リアルな日本の生活を体験してみたい」と思うようになり、2011年に初訪日を果たします。

 そして、2024年に再訪日。9か月間の滞在中、横浜にある日本語学校で学びながら、幼稚園で英語を教える仕事も体験するなど、日本での生活を満喫しました。

 そんなある日、日本語を習い始めて間もない頃に、魚をたくさん飼っている人と出会ったそうです。

「僕も家で魚を飼っているので、ずっと魚の話をして盛り上がりました。静岡では港で漁師さんとも魚の話をしたんです。まだ日本語はうまく話せなかったけど、とても楽しかったし、漁師さんが本当に親切で、いろんなことを教えてくれました」

 言葉が完璧でなくても、好きなことを通じて心が通じ合う──そんな温かい瞬間が、彼の中で日本への親しみを深めていきました。

言葉が開いた心の扉

 一方で、ミケーレさんは日本人の控えめな一面にも驚いたといいます。

「外国人と話すのが、ちょっと怖いと思っているのかなって感じることがよくありました。たぶん、外国人は日本語を話せないって思っているんでしょうね。ある女性に日本語で話しかけたら、びっくりして近くにいたご主人を呼んじゃったんです。でも、僕が普通に日本語で話しているのに気づいたら、ホッとした顔をして、そこからは普通に会話してくれました」

 ミケーレさんはそのとき、「言葉が壁ではなく、扉になる」ということを実感したそうです。

「日本人は、僕が日本語を話すとまったく違う態度になりました。世界の反対側の人たちと現地の言語で話して、理解し合えるのは、素晴らしいことで、僕はそうできることに大きな満足感がありました」

 言葉は文化を越えて心をつなぐ鍵。ミケーレさんにとって、日本語を学ぶことは単なる勉強ではなく、人との距離を縮める“魔法”のような体験でした。

「今でも心の一部を日本に置いてきたような気がします。インスタグラムで日本の映像を見ると、『あ、数週間前はそこにいたんだ』って思って胸がキュッとなるんです。どうしてだろう、本当に日本が好きなんです。最高の経験でした。でもね、『優しい国だった』って言葉だけじゃ足りない。日本は、僕の心を動かした国です」

 コミュニケーションの難しさに悩みながらも、日本の素晴らしさを感じ取ってくれたミケーレさん。また日本に遊びに来てくれる日が楽しみですね。

(Hint-Pot編集部)