Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

カルチャー

「また来たいかと言われたらごめんなさい」 初訪日のドイツ人が日本で困った出来事とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

ドイツ人の(左から)キーノさんとヴァレーナさん【写真:Hint-Pot編集部】
ドイツ人の(左から)キーノさんとヴァレーナさん【写真:Hint-Pot編集部】

 島国の日本は、その地理的条件もあり、独自の歴史と文化を作りあげてきました。その結果、今では世界中の観光客から人気の旅先のひとつになっている一方で、課題も多くあります。初訪日のドイツ人カップルは、滞在中に困った出来事があったようです。それはいったい、どんなことなのでしょうか。

 ◇ ◇ ◇

初訪日 10日間の東京観光を満喫

 初めて日本を訪れている、ドイツ人のキーノさんとヴァレーナさん。10日間の滞在で、東京を中心に観光する予定です。

 話を聞いた日は、日本に来て8日目。ふたりは東京の真ん中に位置する皇居から、東京西部にある下北沢まで、都内各地のさまざまな観光スポットをめぐりました。

「東京だけでも大きくて、見るものがたくさんある!」と語るキーノさんは、見どころ満載な東京に圧倒されている様子です。

「僕は、とにかく人が多いところが気に入りました。自分たちはそんなに大きな街の出身じゃないので、1000万人以上の人が住んでいる東京とはまったく比にならないんです」

 世界的に見ても、東京は人口が多い都市のひとつです。キーノさんは自身の出身地と比較して、改めてその違いを実感したといいます。

「何かと高いところに登るのが好きです。たとえば東京スカイツリーや、SHIBUYA SKYとか」

 ヴァレーナさんは、高層ビルが立ち並ぶ東京のなかでも、代表的な展望施設が気に入ったそう。空から見た都会の絶景に満足した様子です。

「なかなか注文できない…」

 このように東京を楽しんでいたふたり。しかし、ヴァレーナさんには、日本に来て少し残念に感じていることがあるといいます。

「日本の旅行はとても貴重な経験でした。でも、また来たいかと言われたら、ごめんなさい。どちらというと私にはハマらなかった気がします。一番の理由は、日本のみなさんが英語をほぼ話さないこと。カフェやレストランに行ってもなかなか注文できないなど、それが少し残念だなと感じてしまいました」

 スイスの教育機関であるイー・エフ・エデュケーション・ファースト(EF)が毎年発表している、世界の英語能力指数ランキングの2023年版で、日本の順位は113か国・地域中87位。全世界の平均スコアよりスコアが低く、能力レベルは「低い」と評価されています。

 また、観光庁が行った2023年度の「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」の調査結果によると、訪日中の外国人旅行者が旅行中に困ったことの2位は、「施設等のスタッフとのコミュニケーション」でした。

「『ハロー』とか『ハイ!』とか言っても、目を合わせようとしてくれなくて、英語を学ぶ機会がないのかと思っていたんだけど……」と、キーノさんも、日本人とのもどかしいやりとりにカルチャーショックを隠せなかった様子。そして、そんな日本人の反応から、日本では英語教育自体がないものだと思ったようです。

 日本人にとって、英語力の向上は長年の課題です。2020年からは小学校で英語が必修化され、「読み」「書き」だけでなく「聞く」「話す」などのコミュニケーションを強化する教育が推進されつつあります。

 実際に外国人を目の前にしたとき、日本人が英語を話さないのには、失敗をおそれる特有の気質も影響しているでしょう。ヴァレーナさんは「みんな間違えて当たり前なのよ……」と、日本人の英語力向上を期待しました。

 一方、キーノさんは「日本語を学びたいと思ったよ。どのくらいかかるかわからないし、とても長い道のりになると思うけど、僕は少なくともそう思った」と、今回の旅で日本語への関心が高まったようです。

 日本の魅力に触れる中でも、観光するうえで感じた不便を正直に話してくれたふたり。残りの滞在でも、日本でしかできない文化経験を重ねてほしいですね。

(Hint-Pot編集部)