Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

納豆に賞味期限があるのはなぜ? 表面に浮き出る白い粒は発酵が進みすぎたサイン 栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

発酵食品のひとつ、納豆(写真はイメージ)【写真:写真AC】
発酵食品のひとつ、納豆(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 日本の食卓に欠かせない発酵食品、納豆。買い置きして、冷蔵庫に常備している人もいるでしょう。発酵食品は日持ちするイメージがありますが、賞味期限が記載されているのを不思議に思ったことはありませんか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

納豆の表面についた白い粒の正体は?

 納豆は発酵食品のため、腐敗した食品とは異なりますが「もともと腐っているから、賞味期限なんて関係ない」と思う人もいるかもしれません。発酵と腐敗は、微生物などが食品を分解する点では同じですが、意味として「発酵」は人が食べて有益なもの、「腐敗」は人が食べると有害なものに分けられます。

 納豆は、蒸し煮した熱々の状態の大豆に納豆菌を加え、パック詰めして作られるのが一般的です。熱々の状態にすることで、ほかの菌を殺菌し、納豆菌だけが繁殖できる状態にしています。食べ頃になったところで温度を下げて発酵を止め、出荷されます。

 しかし、温度を下げても、発酵が完全に止まるわけではありません。納豆菌が残した酵素によって、出荷後も日が経つにつれて発酵が進んでいきます。

 その進行によって見られる変化のひとつが、表面に現れる白い粒です。購入してしばらく経った納豆を食べようとして開けたら、表面に白い粒がついていた経験があるかもしれません。かき混ぜても溶けない、シャリシャリとした白い粒の正体はアミノ酸の結晶。発酵の進みすぎで形成されるもので、本来の風味が失われている可能性が高いです。

 こうした理由から、納豆は発酵食品ですが、おいしく食べられる期限として賞味期限が設けられているのです。なお、長期間保存している間に、腐敗菌が付着して繁殖すると、納豆も腐敗します。ツンと鼻を刺すような刺激臭がある、混ぜても糸を引かない、ドロドロして水っぽい場合は、食べるのを控えましょう。

 購入後は冷蔵保存が推奨されていますが、賞味期限内に食べ切れない場合は冷凍庫で保存すると、1か月ほどおいしさを保てます。