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「ブルガリアは遠いし、頻繁に帰れず」→日本の上司に相談すると… 予想外の言葉に感謝 今も心に残る「素晴らしい対応」とは
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日本はよく「ルールに厳しい」といわれますが、実際に暮らしてみると、秩序を保ちながらも、状況に合わせてやわらかく寄り添ってくれる場面があります。1990年代に日本で過ごしたブルガリア出身の女性は、6年間の暮らしのなかで、そんな日本の一面に触れたそう。思いがけず心に残る温かな出来事とは、どのようなものだったのでしょうか。
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研究者の夫と過ごした、日本での6年間
画家として活動している、ブルガリア出身のシルビア・ヴァシレヴァさん。現在はアメリカのサンディエゴで暮らしていますが、研究者の夫の仕事の関係で、1990年から1996年まで日本に住んでいたことがあります。
最初の2年間は大阪で生活。その後、東京、仙台へと移り、合わせて6年間を過ごしました。遠く離れた故郷。飛行機代も高く、長い休みも取りにくいため、日本在住中はそう簡単に帰ることができませんでした。
しかし、夫が東北大学で化学を教えていたとき、心温まる出来事があったそうです。
当時は一般的ではなかった長期休暇
「当時は制度上、2週間までしか長期休みを取れなかったんです。でも、日本では、その2週間すら休む人がほとんどいませんでした」
悩んだ夫は、思い切って上司に相談することにしました。すると、思いがけない提案があったそうです。
「『ブルガリアに戻ったら、昔の研究者たちと会うでしょう? 化学について語り合い、情報を収集して、レポートして仕事をしてください』と言って、休みを少し延ばして20日間にしてくれたんです」
この出来事を振り返り、シルビアさんはこう語ります。
「なんて素晴らしい上司でしょうか。日本の規則も尊重しながら、特別な図らいの恩恵を受けて、本当に感謝しています」
厳格なルールがあるように見える日本社会。しかしその中にも、人の事情に寄り添い、柔軟に対応してくれる温かさがあります。30年近く経った今も、シルビアさんの心には、上司の優しさと、その背景にある日本人の思いやりが深く刻まれていました。
(Hint-Pot編集部)
