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ビジネスホテルの客室の壁際にある“謎の板”の正体…実は絶滅危惧種? 今どきのホテルから消えゆく切ない理由

公開日:  /  更新日:

著者:小林 千花

ホテルの客室に置いてある便利な備品(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ホテルの客室に置いてある便利な備品(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ホテルの部屋に入ると、壁際やクローゼット付近に置かれているズボンプレッサー。身だしなみを整えるための便利な備品なのですが、最近では撤去するホテルが増えているそうです。ズボンプレッサーの使い方や置かれるようになった背景などについて、ホテルのエキスパートとして活躍する小林千花さんが解説します。

 ◇ ◇ ◇

使用時の注意点とは

 ホテルの客室に置かれているズボンプレッサーは、スーツのズボンを挟んでプレスすることで、折り目を整えたりシワを軽減したりする機器です。使い方はシンプルで、ズボンをセットしてフタを閉じ、タイマーをセットするだけ。熱と圧力でズボンをプレスしてくれます。

 ただし、ズボンプレッサーはアイロンのようにシワを完全に伸ばすための機器ではありません。あくまで折り目を整え、軽いシワを目立ちにくくするためのものと考えるとよいでしょう。

 使用する際は、ポケットの中身をすべて取り出し、ボタンや装飾部分には当てないよう注意が必要です。また、生地によっては使用できない場合もあり、とくに化繊や革素材への使用は避けてください。長時間挟んだまま放置せず、初めて使う場合は説明書を確認してから使用しましょう。

撤去するホテルが増えている理由

 ホテルにズボンプレッサーが置かれるようになった背景として、ビジネス利用の増加が影響していると考えられています。スーツで出張するビジネスパーソンが多い時代には、朝の身だしなみを手早く整えたいというニーズに応えるため、客室に導入されるケースが増えました。

 ホテルのクリーニングサービスを利用すると時間がかかるうえ、追加料金が発生することもあります。しかし、ズボンプレッサーなら夜のうちに自分でプレスしておけるため、朝にはパリッと整ったズボンで出かけられるのです。

 かつてはビジネスホテルの定番備品でしたが、最近では設置を見直すホテルも出てきています。その理由としては、出張スタイルの変化やスーツ着用率の低下などが挙げられるでしょう。

 また、客室スペースの制約や、ハンディスチーマーやアイロンの貸出普及により、必要な人だけが使う形に移行する傾向も見られます。

 とはいえ、ビジネス需要の高いエリアやホテルでは、引き続き客室に設置されているところもあります。設置の有無は、お客様の利用状況やホテルの方針によって判断されているようです。

 時代とともにホテルの備品も変化しています。便利なアイテムを上手に使いこなすことで、ホテルステイをより快適に過ごすことができるでしょう。

(小林 千花)

小林 千花(こばやし・ちか)

1995年10月3日、東京都港区生まれ。2018年から生島企画室に所属し、舞台を中心に俳優として活動。曽祖父が都内でホテルを創業し、“ホテル一家”に生まれ育ったホテルのエキスパート。特技は「一度お会いした人の顔と名前を覚えられる」。趣味はホテルめぐり、宝塚観劇。「利き酒師」の資格も持っている。身長155センチ、血液型O。