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「実に5年ぶり、緊張感を持って臨みます」 ジョージア大使が挑んだ「負けられない戦い」 日本の伝統に触れた特別な一日とは
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皇室には、外国からの賓客を日本の伝統文化でもてなす、特別な習慣があります。江戸時代から受け継がれてきた独特の技法を体験することで、日本への理解を深めてもらうという貴重な機会です。ジョージアの駐日大使館で特命全権大使を務めるティムラズ・レジャバさんは、その様子を自身のX(ツイッター)アカウント(@TeimurazLezhava)に投稿。大きな反響を呼んでいます。
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5年ぶりの“戦い”に臨む覚悟
3日の投稿で、「今日は負けられない戦いが待っている」と力強く宣言したティムラズさん。宮内庁から鴨場に招かれ、「実に5年ぶりの鴨場、緊張感を持って臨みます」と、久しぶりの体験への期待と緊張を語りました。
江戸時代から伝わる独特の技法を用いた鴨猟を行う施設が「鴨場」。現代においても、皇室に伝わる文化のひとつとして継承されています。宮内庁が管理する鴨場は、埼玉県越谷市と千葉県市川市の2か所。国内外の賓客をもてなす場として使われています。
鴨猟では、訓練されたアヒルが、鴨を引堀(ひきぼり)と呼ばれる狭い水路に誘導。鴨が飛び立った瞬間、叉手網(さてあみ)で捕獲します。この網は絹の糸で作られているため、鴨が傷つくことはありません。捕獲した鴨は、種類や性別などを記録し、標識(足環)をつけてからすべて放鳥。野鳥の国際鳥類標識調査に協力しています。
埼玉県越谷市にある「宮内庁埼玉鴨場」で行われた鴨猟。ティムラズさんは複数の写真や動画を投稿し、その様子を伝えています。
投稿された写真には、美しい自然を背景に、同じ装いで並ぶ参加者たちの姿がありました。ティムラズさんは、妻やほかの外交官たちとともに、膝丈まであるベージュのコートと帽子を着用し、叉手編を携えています。
真剣な表情の参加者たち。続けて投稿された動画には、鴨たちの安全に配慮しながら捕獲する様子が映っていました。
日本の伝統文化に感謝
体験を終えたティムラズさんは、鴨場の意義について日本語で語りました。
「こちらでは鴨が飼育されていて、それだけじゃなくて、この場はですね、外交官やいろんな外国の来賓も含めて、多くの方が日本ならではの伝統的なホスピタリティが味わえる非常な貴重な場になっております」
そして、今回参加できたことに感謝。「今日は多くの外交官の仲間とともに鴨捕りという非常に興味深い行事が体験できた。そして、それによって素晴らしい交流ができたこと、この機会をいただいたことに対して心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます」と深々と頭を下げました。
最後の投稿には、ティムラズさんが捕獲した鴨を放鳥する様子も。「さようなら鴨さん。ありがとう」とのコメントで鴨にお礼を伝え、優しく元の場所に放鳥する姿からは、生き物への敬意と日本文化への深い理解が感じられます。
日本の伝統文化を尊重し、真摯に向き合うティムラズさん。投稿のリプライ(返信)には、「お疲れ様でした」「日本にずっと敬意を示していただきましてありがとうございます」「優しいお人柄が垣間見え、こちらまで優しい気持ちになりました」といった声が寄せられています。
(Hint-Pot編集部)