インタビュー

小学2年で気が付いた「自分がゲイということ」 LGBT公表とその後 同性婚した弁護士が語る

著者:中野 裕子

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同性パートナーとの挙式を公表した弁護士の南和行さん【写真:中野裕子】
同性パートナーとの挙式を公表した弁護士の南和行さん【写真:中野裕子】

 性的マイノリティ(LGBTなど)について、近年「多様性」を受け入れる自治体や企業の取り組み、また作品テーマとして取り上げたテレビドラマや映画などが話題を集めるなど、認知度は上がっている。LGBTとは、一般的に同性が好きな人や、自分の性に違和感を覚える人、または性同一性障害などの人々を言う。しかし、社会全体としての理解度は高いとは言えず、差別を恐れ、公表したくてもできずに苦しむ人達は多いだろう。公表するとどうなるのか、公表して良かったこと悪かったこと、そしてなぜ公表したのか……。仕事をともにする同性パートナーと堂々と挙式し、公表した弁護士の南和行(みなみ・かずゆき)さんに聞いた。

 ◇ ◇ ◇

南和行さん パートナーと結婚式を挙げたのは「都合が良かったから」

 僕が同性のパートナーの吉田くんと結婚式を挙げたのは、その方が都合が良かったからなんです。僕達がパートナーであることを、共通の知人の中に知っている人と知らない人が混在するようになり、だんだん混乱してきたので、きちんとみんなにお知らせした方がすっきりするよね、ということになったんです。

 2人でマンションを買って、一緒に暮らし始めたのも理由です。例えば、町内会の役員をやると、役員同士で「何の仕事をしているのですか?」「奥さんは?」といった話になりますよね。その時に、「パートナーは男で……」という説明をその場でするかしないか、その都度、迷うかもしれない。それならいっそ結婚式を挙げて公表し、もし僕たちの関係を知らない人から聞かれた時も隠さないようにしよう、と決めました。そうすれば迷ったり、悩んだりしなくて済みます。だから、公表するメリットの方が多い、と思ったんです。

 公表しても、僕達の事務所に偏見を持っている人から嫌がらせの電話やメールがきたことはありません。僕達は男だし、弁護士といういわゆる社会的に強い立場だからかもしれません。嫌がらせして訴えられたら困る、と思うんじゃないですか(笑)。一方で、LGBTの人達からの相談を多く受けるので、LGBTが関わる案件を手がけることが少なくありません。そうした相談を受けていると、やはり差別されることがなくなったとは思えません。僕は独立して、家族経営の事務所――傷つかない城を作ってそこで暮らしているから、差別を感じることが少ないだけで。

 弁護士の仕事をする中で差別を感じることはあります。裁判官や弁護士など法曹界の人の方が、差別感情が強いんじゃないか、と感じることもあります。以前、ゲイ向けの風俗の仕事をしている人が、住んでいるマンションの大家から部屋を明け渡すよう求められ、裁判で争った案件を手がけたことがありました。その時、大家側の弁護士から「オカマに対する差別で裁判をやってるんじゃないんですよ」と言われたんです。“オカマ”ってそれがすでに差別的な言葉ですよ。そんな言葉を弁護士が使うんだ、と驚きました。

 検察官の差別発言を耳にしてしまったこともあります。法廷で書類のやりとりなどを一緒にした中年の女性検察官が法廷を出た後、部下の検察官らに「私、下世話やから、どっちが男役? 女役? とか思うやんかぁ」と大きな声で言うのが、トイレを出ようとした僕の耳に入ってきたんです。しばらく立ちすくんでしまい、トイレから出られませんでした。

 そういう不愉快な思いをすると、一瞬ショックを受けますけど、かえって「負けへんぞ」と弁護にも力が入ります(笑)。感情的になると失敗するので、空回りしないように気をつけていますけど。それでも、公表しなかったら良かった、とは思いません。