ライフスタイル
子どものお年玉を使い込んでしまった…「親だからOK」は通用する? 弁護士が解説
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:坂本 尚志

お正月に、子どもたちが楽しみにしているのがお年玉です。多額の現金を子どもに持たせるのは心配と、親が預かるケースも多いでしょう。しかし、預かるつもりが、気づけば生活費に充ててしまっていた……そんな経験はありませんか? こうしたケースに問題はないのでしょうか。弁護士の坂本尚志先生が解説します。
◇ ◇ ◇
返すつもりが返せなかった場合
小学生と中学生の子どもを育てる40代の母親です。毎年、祖父母や親戚から、2人分のお年玉をまとめて預かってきました。
「将来の進学費用に」と思い、通帳で管理していましたが、物価の上昇で家計が苦しくなったある月、「少しだけなら」と数万円を引き出したのが始まりでした。翌月には戻すつもりでしたが、翌月もやりくりが厳しく、気づけば通帳の残高が思ったより減っていました。
問題が表に出たのは、中学生の娘が「スマートフォンを自分のお年玉で買いたい」と言い出したときです。通帳を見せると「え、こんなに少なかったっけ?」と、言葉を失っていました。
生活費に使ったことを正直に話しましたが、「返してほしい」と言われても、すぐに全額を用意できる余裕はありません。親として、どうするべきだったのか。そして、これは本当に問題になることなのでしょうか。
「管理方法を明確にしておくことが一番」
こうしたケースについて、弁護士の坂本氏は以下のように説明します。
「お年玉を現金で親が預かっている場合、金銭は所有と占有が一致するため、通常の管理方法であれば、親が使ったとしても、ただちに横領罪などの刑事責任や返還義務が問題になるケースは多くありません」
一方で、次のような場合は話が変わります。
「ただし、金庫に入れる、封筒に入れて『使わない』状態で保管するなど、子どもの財産として特別に区別管理していたといえる場合には、例外的に業務上横領罪が成立する可能性があります」
なお、子ども名義の銀行口座については、通帳やキャッシュカードを親が管理し、親権者等法定代理人など正当な引き出し権限が親にある限り、結論的には横領の問題にはならないそうです。もっとも、預金口座の「占有」の考え方については見解が分かれており、具体的な事情によって結論が異なる場合もあります。
とはいえ将来、成長した子どもが金銭の扱いに疑問を持ち、親子関係にひびが入る原因になる可能性もあります。
「子どもが理解できる年齢であれば事前に説明し、返すつもりであればその約束をはっきりさせておくこと。子ども名義の口座に入れる、メモを残すなど管理方法を明確にしておくことが、のちのちのトラブルを防ぐ一番の方法です」と坂本先生はアドバイスします。
「預かっているだけ」のつもりでも、その管理の仕方によっては、あとから親子間の深刻な問題に発展することもあります。この機会に、一度立ち止まって考えてみても良いのかもしれません。
※本記事に記載された事例は、特定の事実関係に基づくものではなく、想定ケースとして構成されたものです。実在の相談・事件・人物等とは一切関係ありません。
(Hint-Pot編集部)