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温め直しに潜む火傷のリスク みそ汁や飲み物で起きる「突沸」 鍋やレンジの使用時に気をつけることとは
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教えてくれた人:和漢 歩実

寒い季節に、温かいものを飲んだり、食べたりするとほっとしますよね。みそ汁などを温め直して食べることもあるでしょう。なにげない日常の行為ですが、条件が重なると、中身が飛び散る「突沸(とっぷつ)」という現象が起こり、火傷するリスクも潜んでいるようです。突沸について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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突沸は液体を温める際に起こり得る現象
液体を温めると、プクプクと小さな泡が出始め、次第にブクブクと大きめの泡が出て沸騰状態になります。しかし、まれに液体が沸騰する温度(沸点)に達していてもブクブクと泡が出ないことも。その状態のときに、振動や調味料を加えるなどの刺激が加わると、液体が突然爆発するように沸騰し、中身が飛び出します。この現象が「突沸」です。
突沸は、つねに起こるわけではありませんが、液体を温める際には起こり得る現象です。噴出した中身で火傷をするリスクが高いので、温めの際は気をつけてください。とくに冷えたみそ汁や牛乳、カレー、シチューなどとろみがある食品は、鍋やカップの中で対流が起こりにくく、温度差が生じやすいため注意が必要です。加熱しても温度の低い部分が沸騰を抑えるため、抑えられた部分が過加熱状態になり、突沸が起きやすくなります。
たとえば、みそ汁を温め直す場合、冷えた鍋の底には、みそやこうじなどの細かい成分が沈んでいます。そのまま再加熱すると、これらの成分が内フタのように対流を妨げ、下側だけが加熱される状態になる場合があります。そこに、振動などなんらかの刺激が加わると、下に溜まった熱気が細かい成分を押し上げて、突然噴出するのです。
また、電子レンジで冷たい牛乳などの飲み物を加熱した場合も、沸点を超えても沸騰しない過加熱状態になることがあります。電子レンジから取り出すなど振動が加わることで、沸騰した状態になり、突然、中身が飛び出します。
突沸を防ぐためのポイントとは
突沸は、ガスコンロやIH、電子レンジでも起こり、液体を入れる鍋や器などの材質もとくに関係なく、さまざまな条件が重なったときに発生します。
防ぐためには、「一気に加熱しないこと」が重要です。みそ汁やシチュー、カレーなどを鍋で温め直す場合は強火で煮立てずに、弱火で、おたまなどでかき混ぜながら温めることを心がけてください。
電子レンジで飲み物を温める場合は、食べ物の温め加熱機能は使わないでください。温めすぎてしまうことがあるため、飲み物専用の温め機能を使いましょう。手動で温める場合は、加熱時間を短めにして、全体を混ぜて様子を見ながら追加で温めてください。もし「温めすぎた」と感じた場合は、すぐに取り出さず、1~2分置いて、冷ましてから取り出すほうが安全です。
寒い季節は、食べ物や飲み物を温める機会が増える分、突沸のリスクも高まります。安全に気を配りながら、楽しみましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾
