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「混ぜるな危険」は排水口で起こる可能性も プロが止める“比較掃除” 浴室で有毒ガスを生む最悪の使い方とは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:伊藤 まき

洗剤が混ざらないよう注意を(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
洗剤が混ざらないよう注意を(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

「近年、水まわりの頑固で落ちにくい汚れを“どの洗剤なら落ちるのか”と比較検証する動画が流行しています。しかし、洗剤の知識がないまま真似をすると非常に危険。絶対にやめてください」と警鐘を鳴らすのは、クリンネストの資格を持つ整理収納アドバイザー・伊藤まきさん。いったい、どのようなリスクがあるのでしょうか。

 ◇ ◇ ◇

洗剤は「混ぜるな危険」が基本のキ

 最近は、複数の洗剤を順番に試して効果を比べる動画を目にする機会が増えています。これらの動画では「お湯で流しているから大丈夫」と思いがちですが、住宅の水回りには、下水からの悪臭や害虫の侵入を防ぐために「封水(ふうすい)」と呼ばれる排水トラップが設置されています。

 この排水トラップは、排水管内に水を溜めてフタの役割を果たす構造です。そのため、異なる種類の洗剤を次々に流すと、トラップ部分で洗剤が混ざり、有毒ガスが発生するリスクが高まります。大量の水で流せばリスクは下がりますが、水資源を無駄に使うことにもなります。

 また、SNS上の情報は注目を集めるために誇張されているケースも少なくありません。安易に真似することは避けましょう。

複数の洗剤を使う場合の正しい順番

 汚れの状態によっては、1種類の洗剤だけでは落ちないこともあります。その場合は、以下の手順を必ず守ってください。

1. 軽い汚れを落とす
 中性洗剤を使用し、皮脂汚れなどの日常的な汚れを落とします。

2. 酸性の汚れを落とす
 重曹などのアルカリ性洗剤を使い、皮脂・湯アカ・ピンクぬめりなど、酸性の汚れを中和して落とします。

3. 十分に洗い流し、乾燥させる
 たっぷりの水で洗剤と汚れを流し、水気を切るか時間を置いて乾燥させます。次の酸性洗剤と反応させないための重要な工程です。

4. アルカリ性の汚れを落とす
 水アカや石けんカスなど、STEP1~2で落ちなかった汚れを、クエン酸などの酸性洗剤で中和して落とします。

5. 再度しっかり洗い流す
 4の洗剤を十分に流したあと、最低でも1日は間隔をあけます。これは、次に使う塩素系カビ取り剤と混ざるのを防ぐためです。

6. カビ取り
 塩素系カビ取り剤を使い、ゴムパッキンやタイル目地などの頑固な黒カビを除去します。

 洗剤の使用順は「中性→アルカリ性→酸性」ですが、それぞれの洗剤の間には必ず“十分な水洗いと乾燥”を挟み、洗剤成分を完全に排除してから次へ進みます。

 洗剤を残したまま次の洗剤を使うと、排水トラップ内で成分が混ざり、有毒ガスが発生する危険があります。また、水回りに限らず、洗剤を使用する際は必ず換気を行いましょう。換気扇を回す、窓を開けるなど、十分な換気を確保することが安全な掃除の基本です。寒い時期でも、身を守るために正しい手順と換気を徹底してください。

(和栗 恵)

伊藤 まき(いとう・まき)

整理収納アドバイザー1級、クリンネスト2級。ホテル清掃員や国鉄系レストランの厨房、内装会社、デパートの搬入搬出などで経験を積み、出版社に入社したのち独立。掃除しながら片づける「整理収納のプロフェッショナル」として各種ウェブメディアで記事を手がけ、掃除本の編集ライターとしても活躍中。
インスタグラム:maki_organize