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鏡餅を切ってはいけないのはなぜ? 福を逃さないために…知っておきたい「鏡開き」のルーツ

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

お正月の飾り「鏡餅」(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
お正月の飾り「鏡餅」(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 お正月に飾った鏡餅。年明けに「鏡開き」を行い、食べるまでが一連の風習です。地域によって違いがありますが、一般的には1月11日に行います。今は、鏡開きになじみが薄れてきているかもしれませんが、鏡餅を飾っていたら、やってはいけないことは押さえておきたいところ。ルーツとともに紹介します。

 ◇ ◇ ◇

お正月に家にやって来た神様の居場所

 鏡餅は、単なる食べ物ではなく、年神様の居場所と考えられてきました。年神様とは、お正月に各家庭にやってきて、新年の福や恵みをもたらすと信じられている神様です。家に来たときの滞在場所として、鏡餅を供えました。鏡餅の丸い形は「円満」を表し、二段に重ねるのは、「福が重なる」意味が込められています。

 その鏡餅を、年神様が家に滞在する「松の内」が明けて見送った後、下ろして食べる行事が鏡開きです。ルーツは、武家社会で鎧や兜の前に供えた餅を食べる「具足開き」にあるとされています。

 神様のお供え物に刃物をむけるのは縁起が悪い行為とされ、とくに武家社会では切腹を想起させるとして、鏡餅に包丁を入れることは避けられてきました。伝統的な鏡餅の場合は、松の内明けにはカチカチに乾燥して硬くなっています。食べる際は、手で割り砕くか、木槌で叩き割っていたそうです。ただし「割る」という表現も縁起が悪いとされ、末広がりを意味する「開く」を使うようになり、「鏡開き」になったのです。

 最近の鏡餅は、真空パックで包装された小さなサイズのものが売られているので、切らずにそのまま調理できて手軽です。もしひとくちサイズなどに分けたい場合、この背景を踏まえると、いったん電子レンジで加熱してやわらかくしてから、手でちぎるなどすると良いでしょう。

鏡餅は、残さず食べるのが鉄則

 鏡餅でやってはいけないといわれていることは、包丁など刃物で切るほかに、「残す」ことです。鏡開きは、年神様に供えた鏡餅を「お下がり」としていただき、食べることで力を得られると考えられてきました。そのため、食べ残してしまうと恵みを授かれないといわれています。食べずに処分してしまうことも避けましょう。

 お正月早々、松の内が明ける前に鏡餅を食べてしまうのも、年神様の居場所がなくなってしまうため、本来の由来に沿いません。松の内とは、年神様がいる期間のこと。松の内は地域によって違いがあり、鏡開きの日も1月11日が一般的ですが、15日、20日などほかの日の地域もあります。

 鏡餅の食べ方にとくに決まりはありません。昔ながらの食べ方としては、おしるこやぜんざい、雑煮などが挙げられます。今は餅料理のバリエーションが豊富なので、ピザやグラタンなど洋風にしても良いでしょう。日頃の感謝と新年の願いを込めて、鏡開きで残さず味わいたいですね。

(鶴丸 和子)