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知らないと福が逃げる? いまさら聞けない「お正月飾りにまつわるルール」
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クリスマスが終わると、一気にお正月モードに。新年を迎えるために欠かせないのが、しめ縄やしめ飾り、門松、鏡餅などのお正月飾りです。実は、お正月飾りには「飾り始めてはいけない日」があります。とくに大晦日の31日になってお正月の飾りをする「一夜飾り」は、縁起が悪いと言い伝えられてきました。日本古来の伝承や風習、先人の知恵など諸説に着目するこの連載。今回はお正月飾りをする日、片づける日について紹介します。
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お正月飾りとは いつ飾るもの?
新しい年を迎える前に、家の内外に飾るお正月飾り。主なものに、しめ縄やしめ飾り、門松、鏡餅などがあります。日本では、お正月になると、その年を司る「年神様」と呼ばれる神様が各家庭に降臨し、一年の幸せや健康をもたらしてくれると考えられてきました。お正月飾りは、年神様が安心して家へ来られるように、目印や拠り代として飾るものです。
もともと、お正月飾りは「正月事始め」の12月13日以降に飾り始めるものですが、現代ではクリスマス翌日の12月26日以降に飾りつけることが多いようです。年末も押し迫る時期になりますが、お正月飾りを大晦日の31日に飾るのは縁起が良くないと言い伝えられています。
理由には諸説ありますが、主に次の2つが要因と考えられています。ひとつは、元旦に神様を迎えるのに、たった一日だけの急なこしらえでは神様に失礼だという説。もうひとつは、前日に飾る一夜飾りは葬儀を連想させるので、縁起が悪いとする説です。
このほか、12月29日もお正月飾りをしてはいけない日といわれています。日付の語呂合わせで「二重苦(苦立て)」になるのが理由です。しかし、近年は、語呂合わせで「福」になるので縁起が良いという説もあります。
もちろん、どの日に飾るのも選択は自由ですが、古くからの言い伝えを守るのであれば、お正月飾りは12月28日までに飾りつけをするのが良いといえそうです。できるだけ早めに飾ったほうが、慌てずに新年の準備できますよね。
飾りっぱなしもNG お正月飾りを片づける日は決まっている
元旦にやってきた年神様が滞在する期間を「松の内」といいます。松の内の期間は、地域によって差がありますが、1月7日または1月15日までとするのが一般的です。お正月飾りは、ずっと飾り続けるのではなく、松の内の最後の日に外します。
処分は、その年のうちにしましょう。松の内が明けると、「どんど焼き(どんと焼き)」や「左義長(さぎちょう)」といった風習があります。神社やお寺の境内で、門松やしめ縄、締め飾りといったお正月飾りや古い御札、お守りなどを焚き上げる行事です。主に1月7日または15日に行われますが、住む地域によって違うので、確認してから近くの神社やお寺に収めると良いでしょう。自分で処分しても問題ありません。住んでいる地域のゴミ分類ルールに従いましょう。
供えた鏡餅は、「鏡開きの日」におろして食べるものです。無病息災を願い、おしるこや雑煮などにして食べましょう。鏡開きの日は1月11日が一般的ですが、15日または20日の場合もあります。
現代はお正月の迎え方が多様化していますが、縁起を担ぐ昔からの言い伝えも知っておくことで、選択肢が広がりますね。たくさんの福を呼び込み、健やかで穏やかな新年になりますように。
(鶴丸 和子)
鶴丸 和子(つるまる・かずこ)
和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
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