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だし巻き卵に「直接しょうゆ」はマナー違反? 食べ方を聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

ふんわりとしておいしい、だし巻き卵(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
ふんわりとしておいしい、だし巻き卵(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 ふんわりとした食感とだしが効いた味わいが魅力のだし巻き卵。SNSでは、その食べ方が話題になっています。直接しょうゆをかけて食べるのはありなのか、それともマナー違反になるのか、実際のところどうなのでしょうか。だし巻き卵について、厚焼き卵との違いも含めて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

作り手への配慮が大切

 だし巻き卵の食べ方に厳密な決まりはなく、しょうゆを直接かけて食べる行為は、マナー違反だとは言い切れません。おいしいと感じる食べ方が一番です。しかし、外食先など周囲の人や作り手を思いやって食べる際は、マナーを意識した配慮が必要になることもあるでしょう。

 そもそもだし巻き卵は、溶き卵にだし汁をたっぷり加えて焼き上げたものです。京都を中心に関西で発展したといわれる料理で、だしの旨味を生かすため、ほかの調味料は控えめです。焼き色がつきやすい砂糖は使わず、照りがつくみりん、色のうすい淡口しょうゆを少量使い、淡くやさしい黄色に仕上げます。口に含むと、卵のやわらかさとともに、繊細なだしの風味がじんわりと広がるのが特徴です。

 その背景を踏まえ、作り手へのマナーとして考えると、だし巻き卵は、まずは何もつけずにひとくち味わうのがおすすめです。しょうゆの塩味を足したい場合は、だし巻き卵に直接かけるのではなく、添えられた大根おろしに少量かけて食べしょう。大根おろしを卵の上にのせて、一緒に食べても問題ありません。そうすることで、だしの風味を損ねにくいですし、卵の色合いもきれいに保てます。

厚焼き卵との違いとは

 ちなみに、関東で親しまれている厚焼き卵は、一般的に卵にしょうゆや砂糖などの調味料を加えて甘めの味つけで焼き上げます。しっかりとした食感と、表面についた焼き色が特徴です。

 関東で甘めの厚焼き卵が親しまれてきた背景は、江戸時代の屋台で広まった江戸前寿司にあるといわれています。一説によると、保存性や満足感を高めるため、調味料は多めに味つけのはっきりした具材が好まれました。砂糖やしょうゆを使った甘めの卵焼きは、そうした流れの中で発展したと考えられています。関西のだしを主役にした、ふわふわのだし巻き卵とは異なります。

 食を楽しむうえでは、好みを大切に食事することが基本です。その一方で、料理の背景をはじめ、場や周囲の相手に応じた配慮を心がけることで、よりおいしく気持ち良く味わえるでしょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾