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こいくちしょうゆを水で薄めたら、うすくちになる? 意外に知らないふたつの違いとは
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教えてくれた人:和漢 歩実
しょうゆは、日本の食卓に欠かせない調味料のひとつ。大豆や小麦、食塩を原料にもろみを作り、それを発酵・熟成させて絞った液を殺菌したものです。一般的なしょうゆは「こいくちしょうゆ」ですが、「うすくちしょうゆ」などさまざまな種類があります。何が違うのでしょうか? 10月1日は「醤油の日」。記念日にちなみ、しょうゆについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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漢字で書くと「淡口」 味が薄いのではない
しょうゆのルーツは、古代中国の「醤(ひしお)」といわれています。日本にいつ伝わったのかは明らかではありません。しかし、奈良時代には「醤院(しょういん・ひしおつかさ)」という役所の存在についての記述があり、穀物を主原料としたしょうゆの原型である「穀醤(こくびしお)」が存在していたとみられています。鎌倉時代にはたまりしょうゆの原型が作られ、江戸時代になるとこいくちしょうゆやうすくちしょうゆが誕生したといわれています。
うすくちしょうゆの「うすくち」を漢字で書くと「淡口」で、色が淡いのが特徴です。誤解しやすいのですが、味や塩分が薄い「薄口」ではありません。むしろ色が濃くなることを避けるために、塩分濃度を高くして発酵や熟成を抑えているので、一般的な「こいくちしょうゆ」と比べて塩分は高め。塩味の効いたすっきりとした味わいが特徴です。
うすくちしょうゆは、関西で料理に使われてきたしょうゆ。食材の色合いや風味を生かせるので、炊き合わせやお吸い物などを作るのに適しています。
一方、江戸で誕生したこいくちしょうゆは赤みがかった褐色が特徴で、「むらさき」の別名を持つほど。風味が良く、旨味のバランスが取れた調味料として、煮物や焼き物など幅広く使えます。
こいくちを薄めたら、うすくちしょうゆになる?
こいくちしょうゆを水で薄めても、うすくちしょうゆの代わりにはなりません。こいくちしょうゆの風味と旨味が薄まってしまい、料理が水っぽい味になってしまいます。薄めたものに塩を足しても、本来のしょうゆの旨味は感じられません。レシピの材料にうすくちしょうゆと記載がある場合は、うすくちしょうゆを使うほうが良いでしょう。
また、うすくちしょうゆを使う際は分量に気をつけて、味をみて足してください。見た目が薄いので、目分量で作ろうとすると量が足りないように思いがち。つい入れすぎて、しょっぱくなってしまいます。
メーカーによって塩分濃度に違いはありますが、日本食品標準成分表2020年版(八訂)の数値を基に100グラムあたりの食塩相当量を算出すると、うすくちしょうゆが16.0グラムなのに対し、こいくちしょうゆは14.5グラムです。大さじ1杯(15ミリリットル)で比較すると、うすくちしょうゆが約2.88グラム、こいくちしょうゆが約2.61グラム。塩分が気になる際の目安にしましょう。
開栓後のしょうゆは常温保存? 冷蔵?
うすくちでもこいくちでも、しょうゆは開栓前なら常温でも長持ちします。直射日光が当たらない涼しい場所に置きましょう。しかし、開栓後は空気に触れることで酸化し、味や香りが日ごとに落ち、色がだんだん濃くなっていきます。
高濃度食塩が含まれるため、常温で保管していても腐敗することはないといわれていますが、開栓したら冷蔵庫へ保存するほうが良いでしょう。注ぎ口や液垂れした部分にカビが生えることがあるので、容器は常に清潔にしておくことが大事です。
冷蔵庫で保存し、ずっと使い続けている人もいるかもしれませんが、おいしく味わえる目安は開栓1か月程度。空気に触れにくい構造の容器は3か月程度です。できるだけ早めに使い切るようにしましょう。しょうゆ差しに小分けしたしょうゆは、1週間ほどで使い切るほうが新鮮な風味や味わいを楽しめます。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾