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桜餅の葉をはがして食べるのはマナー違反? スマートな食べ方の“正解”を聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実

春の訪れを感じさせる桜餅。ひな祭り(桃の節句)を祝う和菓子としても親しまれています。ピンク色の餅に葉を巻いた形状が特徴ですが、葉ごと食べても問題ないか、それともはがしたほうが良いのか迷うことも。“正解”はあるのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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風味づけや乾燥防止のために巻かれた桜の葉
桜餅に巻かれているのは、桜の葉です。風味づけや餅の乾燥を防ぐためのものだといわれています。葉は食品として塩漬け加工されており、食べられます。葉ごと食べることで、桜の葉ならではの香りと、甘味と塩味のバランスをより楽しめるでしょう。
一方で、葉をはがして食べてもマナー違反ではありません。桜の葉は繊維がしっかりしているため、食べにくいと感じることもあるでしょう。葉をはがしても、餅にほのかに残った風味を楽しめます。マナーの観点でいえば、はがした葉は広げたままにせず、皿の端にそっと置くなど、周囲に配慮するとスマートです。
桜の葉には、クマリンと呼ばれる香り成分の一種が含まれています。桜独特の香りは、この成分によるものです。一度に大量に摂取すると、肝機能に影響を及ぼす可能性が指摘されていますが、通常の食べ方であれば過度に心配することはないとされています。
桜餅には関東風と関西風がある
桜餅は春を象徴する和菓子ですが、実は東西で異なります。色や桜の葉が巻かれているのは同じでも、原料やあんの包み方、形状に大きな違いがあるのが特徴です。
関東風の桜餅は、水溶きの小麦粉に白玉粉を混ぜた生地を薄く焼いた皮で、あんを包んだもの。江戸中期に東京・向島の長命寺の門前で売られるようになったことから、「長命寺」という別名があります。
一方で関西風の桜餅は、蒸したもち米を乾燥させ、粗く砕いた道明寺粉で作った餅で包んでいます。「道明寺」と呼ばれ、特有のつぶつぶとした食感があり、おはぎのような見た目です。
葉のはがしやすさでいうと、長命寺は皮がなめらかであるため比較的はがしやすく、道明寺は葉がつぶつぶの餅に密着しやすいため、はがしにくい傾向にあります。そのため、関東は葉をはがして食べる、関西は葉をつけたまま食べる人が多いといわれることがありますが、一概には言えません。
ちなみに、カロリーにも違いがあります。作った店によって大きさなどに差がありますが、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」で、桜餅(100グラム)は、こしあんで長命寺が235キロカロリー、道明寺は196キロカロリー。粒あんで長命寺が237キロカロリーで、道明寺は197キロカロリーです。長命寺のほうが高い理由は、一般的に油を使って皮を焼くことが考えられます。道明寺は蒸すため、油脂を使いません。
地域差もあるかもしれませんが、桜餅の食べ方に明確な決まりはありません。葉ごと味わうか、はがして楽しむかは好みによります。東西の桜餅を食べ比べてみるのも良いですね。自分に合った食べ方で、春の味わいを適量楽しむのが“正解”といえるでしょう。
(Hint-Pot編集部)