今年は、桜の開花ラッシュが平年より遅れるといわれています。満開になった光景を、心待ちにしている人も少なくないでしょう。そんなはやる気持ちをくすぐる、幻想的な一枚がX（ツイッター）で1.5万件もの“いいね”を集めて話題になっています。撮影者のaki（@aki_goodspeed）さんに詳しいお話を伺いました。

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バッチリカメラ目線のシカが中央に

　うららかな春の日差しの中、咲き乱れる満開の桜。3年前、奈良公園で撮影された美しい一枚です。投稿には、気になる一文が添えられていました。

「春の奈良公園では　こんな美人さんに逢えるかも」

　写真を下へスクロールすると、現れたのはカメラにバッチリと視線を送るシカです。地面が桜の花びらで覆われ、優しく反射した光でシカの体はほんのりピンク色に。今にも話しかけてきそうな表情をしています。

　そんな幻想的な一枚はXで大反響を呼び、1.5万件もの“いいね”が集まりました。リプライ（返信）には、「素敵な写真ですね」「確かに美人！」「逢いたーーーーいっっ」などの声が寄せられています。

「シカの撮影には、鹿せんべいを必ず携行するように」

　写真を撮影したのは、美しい風景などをXやインスタグラム（aki_goodspeed）で公開しているakiさんです。“週末カメラマン”歴は6年目。撮影を始めたきっかけは、本業であるデザインの仕事でした。

「私は長年、デザインワークで使用する写真を、カメラマンに外注していました。しかし、あるときふと、自分で撮影してイメージ通りの写真を撮れたら、よりデザインの仕上がりも予測しやすいのでは？　と思い、見よう見まねで始めてみたんです」

　その後、「そんなに甘くなかった」と泣きを見ることになったと語るakiさんですが、美しい作品の数々からは微塵も感じられません。akiさんは、構図などで無理に個性を出そうとはせず、定番とされている場所では定番の写真を撮ることをマイルールにしているといいます。

「ただ、自分が感じた美しいとか、かっこいいとか、そういった感性は大事にして、撮影と現像をしています」

　話題になった一枚を撮影したときも、とくに特別なことをしたわけではないそうです。

「カメラをかまえていると、シカがカメラ目線でニッコリしながら近づいてきてくれました。おそらく、僕の持っていた鹿せんべいに気づいていたんだと思います。モデル代というわけではないのですが、シカを撮影するときには、鹿せんべいを必ず携行するようにしています」

「たとえ激戦区でも果敢に攻めに行っています」

　最近では、遠方へ足を伸ばすことも増えてきたというakiさん。愛する地元である奈良県にも、まだまだ撮影しきれていない美しい場所が多々あるため、撮影場所に関するルールはとくに決めていないそうです。

「『自分なりの感性で撮ってみたい！』と思ったら、たとえ激戦区でも果敢に攻めに行っています。絶景写真も好きですが、ちょっとおもしろい、笑ってもらえるような写真を撮ることも同じくらい好きなんです。子どもも撮りますし、カエルやテントウムシを撮るのも楽しくて……。うまく撮れたときは、溜まっていたストレスも吹っ飛びますね」

　心から写真撮影を楽しむakiさんだからこそ撮れた一枚。これからも、どのような作品が発表されるのか楽しみですね。

（Hint-Pot編集部）