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「日本の人たちは好んでくれました」 アメリカ在住のブルガリア人が大絶賛 日常生活でも影響を受けた日本の美意識とは
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日本には、古くから受け継がれてきた独特の感性があります。その繊細な感覚は、海外の芸術家たちにも深い影響を与えているようです。日本で暮らした経験があるブルガリア人の画家も、ある考え方に強く惹かれ、今も作品に取り入れているといいます。いったい、何に魅了されたのでしょうか。
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日本で過ごした6年間
ブルガリア出身の画家シルビア・ヴァシレヴァさんは、現在アメリカのサンディエゴに住んでいます。1990年から1996年まで日本に滞在していました。
日本で子育てをしながら、日本語も習得したシルビアさん。「日本語でお話しできることは、喜びです。日本を思い出すことができるから、とてもうれしいのです」と話します。
今でも日本での思い出を大切にしているシルビアさんですが、日本で得たものは言葉だけではありませんでした。
余白が生む想像力
シルビアさんが日本で学び、今も強く影響を受けているのは、日本独特の美意識です。
「日本の美意識には、すべてを語り尽くさないという考え方がありますよね。余白をつくり、想像力にゆだねる。見る人が自由に思い描ける余地を残すという感覚です」
西洋絵画では、キャンバスの隅々まで描き込むことが一般的ですが、日本画には余白を生かす伝統があります。そうした表現方法が、シルビアさんの創作活動に新たな視点をもたらしたようです。
「私はその考え方に強い影響を受けています。何かを想像させる余地を残す。そうした表現は、私の絵画作品にも取り入れています。画面をすべて埋め尽くすような描き方はしません」
日常の中にある非対称の美
日本の美意識は、シルビアさんの作品だけでなく、日常生活にも影響を与えているといいます。
「例えば、テーブルに花を飾るときもそうです。西洋では、花はテーブルの中央に置くのが一般的ですが、日本では端に置くことが多いですよね。私自身も、シンメトリーではない構図が好きなんです」
シルビアさんは、自身がもともと持っていた非対称への好みが、日本で歓迎されたこともうれしかったと振り返ります。
「もっとも、これは生まれつきの感覚で、日本がすべての始まりというわけではありません。ただ、日本を訪れたとき、日本の人たちは私のそうした美意識をとても好んでくれました」
シルビアさんは現在、自宅のインテリアデザインにも、日本の美意識を取り入れているそうです。
「ベッドルームでは、ベッドの両側に同じ家具を置き、ランプを2つ並べているのをよく見ますが、私はそうはしません。あえて左右対称にせず、中心を少しずらしたり、余白をつくったりする構図にします。そうした点でも、私は日本の美意識をとても愛しています」
日本で過ごした6年間は、シルビアさんの人生に深い影響を与えました。余白を大切にし、完璧を目指さない美しさ。その感覚は、今もシルビアさんの創作活動と暮らしのなかに息づいているようです。
(Hint-Pot編集部)
