仕事・人生
管理職で時短勤務は「無理なんじゃないか」 新しい働き方を切り開いた女性役員 貫いた信念と描く未来図
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女性のキャリアは、結婚や妊娠、出産といったライフステージの変化によって、大きな選択を迫られることがあります。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。今回は、ブライダル事業を展開する株式会社オンザページ(旧社名ノバレーゼ)の取締役執行役員・笹岡知寿子さんにインタビュー。後編では、結婚して母になった笹岡さんが、管理職として「時短勤務」という働き方を選んだ経緯や気づき、そしてフルタイムに戻った今、描く未来について伺いました。
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社内で前例のない働き方を切り開く
笹岡さんは大学卒業後、ブライダル事業のベンチャー企業に就職し、ドレスコーディネーターやウェディングプランナーとしてめきめきと頭角を現しました。その仕事ぶりが評価され、27歳で婚礼施設の支配人に抜擢。順風満帆なキャリアを歩んでいました。
しかし、30歳のときに副社長として挑戦した韓国での海外事業は、軌道に乗らず1年6か月で撤退。初めて人生の挫折を味わいます。
帰国後に「うまくいかない理由を自分以外のところに見出そうとしていた。逃げていたのは自分だった」と気づいた笹岡さん。再起をかけた転勤先の婚礼施設で成果を出し、36歳のときにエリア長に就任しました。そして、プライベートでは結婚と妊娠・出産を経て、1児の母に。管理職で時短勤務という新たな働き方を切り開きます。
「時短勤務に切り替えるとき、実は同じ立場のままで働くとは考えていませんでした。でも、社長の『エリア長をやりましょう』『働く女性の未来を作るのはあなたですよ』という言葉に背中を押され、エリア長業務と子育ての両立を決意したんです」
管理職の時短勤務は「正直、無理なんじゃないか」と
そのとき笹岡さんが受け持っていたエリアには、120人のスタッフがいました。ブライダルは土・日曜日が繁忙の仕事です。当時は、スタッフを支える立場にある管理職がみんなが働く土・日曜日に休む、まして途中で帰るという社風はなかったそうです。前例のない働き方に、「管理職の時短」を心配する声もありました。
「私自身、時短勤務を決意したものの、最初は無理なんじゃないかと思ったこともありました。でも、私がここで『無理です』なんて言ったら、この先、女性が子育てしながら管理職という働き方ができない会社になってしまう。後輩の未来のキャリアを止めてしまうことになるし、会社の進化を止めることになります。だから、諦めないでいようと」
そこで笹岡さんは、仕事のやり方を根本的に見直しました。すべてのタスクを分解し、任せられるところはスタッフに任せるように。「部下に『すべて責任を取るからやってごらん』と権限を委譲することで、信頼関係を築きながら部下を成長させることができたのは大きかったです」と語ります。
「今までのように夜の時間をスタッフと共有できず、飲み会や宿泊を伴う出張も行けません。その代わり、ランチミーティングやオンライン、チャットやメールを徹底活用しました。業務時間内でいかに効率的に、コミュニケーション密度を上げていくかを考えるようになりました」