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日本人は減少も外国人は増加…岐阜で人気が逆転 飛騨高山に人が集まるワケ
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石畳の路地に並ぶ古い町家、朝霧の中に響く朝市のざわめき、そして山々に囲まれた澄んだ空気。岐阜県・飛騨高山エリアには、日本の原風景ともいえる景色が今も残っています。日本人観光客にも人気の観光地ですが、近年はこの地を目指して世界中から旅行者が訪れ、その数は年々増えています。いま海外の旅行者は、このエリアの何に魅力を感じているのでしょうか。実際に訪れた外国人観光客の声から、その理由に迫りました。
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海外からの注目が急増中の岐阜県 その魅力とは
観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、岐阜県における日本人の延べ宿泊者数は約612万人泊(2025年)で、全国47都道府県中27位。国内では存在感が高いとはいえない県のひとつかもしれません。ところが、海外からの評価はまったく異なります。同調査によると、外国人延べ宿泊者数は約200万人泊(2025年)で全国15位、前年比3.7%増と着実に伸びており、日本人宿泊者数が前年比4.8%減となるなか、その対照的な伸びが際立っています。
岐阜県内でもとくに注目を集めているのは、白川郷をはじめとする合掌造りの集落、祭りや古い町並みで知られる飛騨古川など、歴史や文化を感じられるエリアです。それらへの玄関口となる高山市には、春や秋の行楽シーズンだけでなく、冬にも多くの外国人観光客が訪れます。リュックを背負い、カメラを手に町を歩く外国人の姿は、今や珍しくない光景となっています。
なかでも高山市の伸びは顕著です。高山市観光課によると、2025年の外国人宿泊者数は前年比27.1%増を記録。岐阜県全体の伸び率を大きく上回っており、海外からの関心が特定のエリアに集中していることがうかがえます。
「高山が好きすぎる!」 外国人観光客が語る魅力

高山を訪れる外国人観光客の多くが口をそろえるのが、古い町並と朝市の魅力です。オーストラリアのシドニー近郊から来たカップル、バイロンさんとカリーヌさんは、金沢から南下して東京へ戻る旅の途中で高山に立ち寄りました。
「高山が好きすぎる(笑)! もっと長くいたいなって思うくらい! 江戸時代? の古い町並も良かったし、今日は朝から宮川朝市で食べまくってるの(笑)」
高山グルメも旅の大きな楽しみのひとつ。飛騨牛は外国人観光客にも広く知られており、バイロンさんもさっそく味わったといいます。
同じく、高山を訪れていた、オランダ人のヨーリックさんにも話を伺いました。日本へ来るのは今回が初めてで、2か月間の長期滞在を予定しています。東京や富士山周辺をめぐったのち、日本のより伝統的な側面を求めて高山へやってきました。
「高山では城跡のほうを散策して、古い町並、宮川朝市とかを見て回った。これから白川郷に足を伸ばして、そこでは一泊する予定なんだ」
東京とは違う日本を求めて

高山エリアへの愛着を深め、リピートで訪れるようになった家族もいます。アメリカ・ニューヨークから来たパルヴィスさん、シャノーザさん、5歳の息子ノルくんの3人家族です。
今回、家族は約2週間の日本滞在のうち1週間を高山エリアで過ごしました。きっかけは昨年、高山市に隣接する飛騨市の飛騨古川を訪れたこと。地域の人々の温かさや、ゆったりとした時間の流れにすっかり魅了され、今回は飛騨古川にある保育園とのエクスチェンジプログラムを利用し、家族そろって“暮らすような滞在”を楽しんでいます。
高山から車で約30分、電車で約15分の距離にある飛騨古川は、白壁土蔵が立ち並ぶ瀬戸川沿いの景観や古い町並みが印象的です。毎年4月には、勇壮な起し太鼓と絢爛豪華な屋台行列が見どころの「古川祭」が開催されます。国の重要無形民俗文化財に指定され、ユネスコ無形文化遺産にも登録されているこの伝統行事。地域に根ざしたその熱気と迫力は、日本の伝統文化を体感したいと訪れる海外旅行者の関心を集めています。
「昨年来たときに、ノルがすごく気に入っていたし、僕自身も山が好きでね。何より、東京を離れたかったんだ(笑)。ノルは小さな町や電車が好きだから、こういう自然が多い場所がぴったりなんだよ。東京って、ニューヨークとあまり変わらないでしょう? また来年も来たいと思っているよ」
東京から飛騨高山エリアへは、新幹線や特急を乗り継いで5時間近くかかります。決してアクセスが良いとはいえません。しかしこうした地域だからこそ、長い時間をかけて育まれた文化や自然が今も息づいているのでしょう。
世界中の人々を魅了する飛騨高山エリア。日本人にとっても、まだ見ぬ日本がここにあるかもしれません。
(Hint-Pot編集部)