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「日本人はわざと自分に自由を与えない」 ジョージア大使が見た日本人の美学 秩序と引き換えに選んだ“窮屈さ”の価値
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日本の街を歩けば、ゴミひとつ落ちていない清潔な通り、時間通りに正確にやってくる電車――。世界中から称賛される整然とした美しさを、日本人は当たり前だと思って過ごしています。しかし、その内側に身を置き続けてきたジョージア特命全権大使のティムラズ・レジャバさんは、完璧な秩序の裏側にある、日本人特有の感覚を感じ取っていました。境界線に立つ“観察者”としての知性が見抜いた、日本社会の真の姿とは。
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「100%なじみきることは不可能」という潔い悟り
ティムラズさんが初めて日本の地を踏んだのは1992年、まだ4歳のときでした。それから現在に至るまで、日本の公立校、大学寮、そして長い歴史を持つ日本企業・キッコーマンでの勤務という、稀有な経験を積み重ねてきました。
日本語を完璧に操り、日本社会を深く理解しているティムラズさん。しかし、そんな大使であっても「自分は決して日本人にはなれない」という、冷静な自己認識を持っています。
「経験すればするほど、自分は日本に100%なじみきることはできないな、日本の社会の一部になるのは不可能だなと感じてきました。たとえば、電車の中でも自分は頭ひとつ出ている。どれだけ日本語を話し、友人が多くても、見た目が日本人じゃないように、内面もまた変わらないところがあるんじゃないかなと思います」
その言葉は、無理に同化しようとするのではなく、違いを認めたうえで「どう共存するか」を模索してきたティムラズさんの誠実さの表れでもあります。
自分は日本のことをよく知っているからこそ、より一層、日本のルールやマナーには気をつけなければならない――。大使は人一倍強い適応への意識を持ち続けてきました。
