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「AIがすすめたから正しい」は危険? 阿部慎之助前監督の長女が直面したAIの“落とし穴” 家庭の悩みをAIに打ち明けるメリットと専門家が鳴らす警鐘

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

巨人・阿部慎之助前監督【写真:産経新聞社】
巨人・阿部慎之助前監督【写真:産経新聞社】

 身近な人に言いづらい、突発的な家庭内のトラブル。いつでも手軽に話せる「AI(人工知能)」は、便利で心強い相談相手になってくれるでしょう。一方で、その手軽さの裏には、現実の生活を大きく揺るがすような事態に発展する、思わぬ“落とし穴”が潜んでいます。巨人・阿部慎之助前監督の長女が「ChatGPTに相談した結果、児童相談所に連絡した」と明かした騒動をきっかけに、「AIへの相談との向き合い方」に改めて注目が集まっています。便利で心強い一方で、その回答をどう受け止めるべきなのか。AIコンサルタントとしても活動する河畠輝さんに、AI相談のメリットや注意点、賢い活用法について伺いました。

 ◇ ◇ ◇

阿部氏の騒動から見る、AI相談に潜む3つの“落とし穴”

 家族の悩みは、周囲への罪悪感からひとりで抱え込みがちです。そのため、24時間いつでも「誰にも評価(ジャッジ)されない」心理的安全地帯として、AIを頼る人が増えています。

 否定されずに感情を言語化できるため、パニックを落ち着かせ、状況を整理するうえでAIは非常に有効です。しかし、その手軽さと心地良さゆえに、AIが提示した「もっともらしい選択肢」へ深く考えずに流されてしまう危険性もはらんでいると、河畠さんは警鐘を鳴らします。

 相談相手として非常に便利なAIですが、私たちが気をつけるべき3つの“落とし穴”があります。

1. AIがすべての事情をわかっていると思ってしまう
 AIは「入力された言葉」しか受け取ることができません。しかし、家庭内のけんかやトラブルには、言葉にできない空気感や、その家族にしかわからない文脈があります。

 今回の場合、長女は「過度な状況説明をしてしまった」と手紙で振り返っていますが、AIは入力された言葉を前提に回答を組み立てるため、感情的な表現や一時的な混乱も、そのまま“深刻な状況”として扱われる可能性があります。人間同士なら感じ取れる「売り言葉に買い言葉」「一時的な感情の高ぶり」といった背景やニュアンスを、AIに正確に渡すことは不可能なのです。

2. AIの出した“もっともらしい正論”を過信してしまう
 ChatGPTなどのAIは非常に自然で、かつ法律や公的機関のルールに基づいた「正しい選択肢」を即座に提示します。家族から暴言や強い態度を取られたと入力すれば、安全性や一般的なリスク回避を重視した回答傾向があるため、「児童相談所や専門機関への相談」をすすめるのは当然の回答です。

 しかし、ユーザー側が「AIがすすめるのだから、これが唯一の正解なんだ」と受け止めてしまうと、本来なら当事者間で解決できたかもしれない行き違いや小さな衝突であっても、客観的な状況判断が追いつかないまま、公的な手続きへと事態が急進展してしまうリスクがあります。

3. “人に相談する機会”を失ってしまう
 AIはいつでも、何度でもこちらの話につきあってくれます。しかし、その手軽さゆえに、本来なら家族や友人、あるいはリアルの専門家など“人間同士の対話”によって解決すべきテーマまで、AIの中だけで完結させてしまう危険性があります。

 AIは状況の客観的な整理役にはなれても、人と人との関係修復そのものを代わりにやってくれるわけではありません。家庭内の問題は、AIが出す「正しい答え」を見つけること以上に、「相手とどう向き合うか」という人間関係のプロセスそのものが大切なケースも多いため、画面の向こうだけで完結させない意識が必要です。