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「ひとり飯」のしやすさは日本ならでは? フードジャーナリストが語るイギリスのレストラン事情
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ひとりでフルコースは居心地が悪かった

ロンドンのような都会では、今はカフェがたくさんあるので、女性ひとり飯のハードルもかなり低くなりました。カフェだとカップルや複数人でなくても入りやすいし、事実、ひとりで食事をしたり、ワインを飲んだりしている女性をたくさん見かけます。ちょっと前までは、アフタヌーンティーをするようなティールームばかりで、いわゆるカフェらしいカフェはほぼなかったので、これはうれしい進化です。
以前、コッツウォルズという地方で、いろいろな元領主の館(マナーハウス)の取材をしたことがあります。コッツウォルズはイングランド一美しいといわれる地方で、マナーハウスを宿泊施設にした素敵なホテルがたくさんあります。料理自慢のホテルもあり、マナーハウスホテルに泊まっておいしい料理を食べるのは、アッパーミドルクラスの優雅な週末の過ごし方です。
取材中はマナーハウスホテルに泊まり、そこで食事をするわけですが、もちろん周りはすべてカップルばかり。取材だとわかっているホテルスタッフは、とても気を遣って親切にしてくれますが、私だけひとりのテーブルでフルコースを食べなければいけない居心地の悪さは半端ではありませんでした。
礼儀正しいイギリス人ですから、チラチラ見るといったことは一切ありませんでしたが、正体不明の東洋人の女がワインを飲みながら、ひとりでフルコースを食べている様子はさぞ気になっただろうと思い、申し訳なくなります。イギリスにおいては、街中のカジュアルな場所でのひとり飯はいざ知らず、高級なレストランになればなるほどパートナーもしくは友人と一緒でないと入りづらく、とても居心地が悪いことを再認識した体験でした。
(斎藤 理子)
斎藤 理子(さいとう・りこ)
出版社で雑誌編集に携わったあと、イギリス・ロンドンなど海外に長年在住し、世界中をめぐって各地の食文化を体験。帰国後は日本国内外の食材生産者から、ミシュラン三つ星レストランや街角の立ち飲み店まで、幅広い食の現場を取材・執筆している。主な著作に「イギリスを食べつくす」(主婦の友社刊)、「隣人たちのブリティッシュスタイル」(NHK出版刊)がある。また、「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフによる連載記事を編集・監修した「田舎のリストランテ頑張る」(マガジンハウス刊)の編著者でもある。2011年には、イギリス政府観光庁よりメディアアワードを受賞。現在、やまがた特命観光・つや姫大使を務める。