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「行儀の良い行為ではない」 皿に残った“ソース問題” 日本では「普通」でも、イギリスでは「マナー違反」となることとは
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フレンチやイタリアンを食べていて、皿に残ったソースを前に「これ、どうするのが正解?」と迷った経験はありませんか。パンで拭って食べるのはおいしいけれど、行儀としてはどうなのか。日本ではあまり気にされないこの行為も、ヨーロッパでは国や階級によって、受け止め方が大きく異なります。イギリス在住経験があるフードジャーナリストの斎藤理子さんが、「ソースはパンで拭ってOK?」という素朴な疑問を入り口に、イギリスとイタリアの食文化の違い、そして知っておくと役立つテーブルマナーの考え方を紐解きます。
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“ソースが主役”のヨーロッパ料理と、残ったときの悩み
フランスやイタリア、スペインなど、料理がおいしいといわれるヨーロッパの国では、ソースが命であることが多いですよね。とくに、長時間かけてとったフォンやブイヨンに、さまざまな旨味を加えて作り上げるフランス料理のソースは、まさに食べる芸術品です。
以前、イギリス料理も今はとてもおいしくなったと書きましたが、ソースのおいしさも革命的に向上しています。イギリス料理の定番ソースといえばグレイビーソースですが、モダンブリティッシュに進化した現在は、バラエティも実に豊か。ベースはフレンチのソースが多いのですが、スパイスやハーブの使い方がうまくておいしい店が急増しています。
ここで悩ましいのが、皿に残ったソースをどうすればいいのかという問題です。理想は、メイン食材にソースをうまく絡ませて、食べ終わる頃にはソースもすっかりなくなっているというもの。でも、実際にやってみると、これはかなり難しい。ソースが必ず多少なりとも余ってしまうのは、どなたも経験があることだと思います。
パンで拭うのはNG? イギリスとイタリアの決定的な違い
日本では、残ったソースをパンで拭って食べるのは普通ですよね。でもイギリスでは、本来ならばマナー違反。行儀の良い行為ではないのです。
ソースは料理の一部だとされるので、メイン食材と一緒に食べ終わるのが正しいのだそうです。もし残った場合は「スプーンできれいに食べるべし」と、イギリスやフランスのマナー本に書いてあります。でも、肉料理のメインにスプーンが添えられることなんて、めったにありません。じゃあどうすればいいの、となりますよね。
ソースが残ってしまってスプーンもなければ、イギリスのマナー的には、そのまま残すのが正しいそうです。でも、おいしいものは食べ切りたい。となれば、やっぱりパンの出番です。
イタリアには「スカルペッタ」という言葉があります。直訳すれば「小さな靴」。これはちぎったパンを小さな靴に見立て、それでソースを拭って食べる行為を表しています。おいしい料理を最後まで食べ切ることで、シェフに感謝の気持ちを伝える意味があるのです。
さすが、美食の国・イタリア。イギリスにこんな言葉はありません。