Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

「ウナギと梅干しはNG」は誤解? 猛暑を乗り切る食べ合わせとは 栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

昔から夏のスタミナ食として親しまれてきたウナギ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
昔から夏のスタミナ食として親しまれてきたウナギ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 2026年7月26日(日)は、土用の丑の日。江戸時代、夏の土用の丑の日に「う」がつく食べ物をとると夏バテしないということから、この日にウナギを食べることが広まったとされています。一方で昔から、ウナギは梅干しと食べ合わせが悪いといわれますが、実際はどうなのでしょうか。40度近い暑さが珍しくなくなった現代、夏バテ対策の観点から、ウナギと相性の良い食べ合わせについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

ウナギがスタミナ食といわれる理由

 土用の丑の日にウナギを食べる風習は、江戸時代、夏に売れにくかったウナギの宣伝がきっかけだったとの説もあります。しかし、栄養面からみても、ウナギは夏バテ対策に役立つスタミナ食です。

 ウナギは良質なたんぱく質に加え、糖質をエネルギーに変える働きを助けるビタミンB1や、脂質のエネルギー代謝に関わるビタミンB2を豊富に含みます。暑さで食欲が落ち、そうめんやお茶漬けなど主食だけの食事に偏ると、エネルギーや体の組織を作るために必要なたんぱく質やビタミンB群が不足し、疲れやすくなりがちです。それらの栄養素をとれるウナギは、夏バテ予防に適した食品といえるでしょう。

 また、皮膚や粘膜を健康に保ち免疫機能を高めるビタミンAや、カルシウムの吸収を促すビタミンD、抗酸化作用を持つビタミンEも多く含まれています。白身魚ですが脂質が多く、脳の働きや血管の健康に関わるオメガ3系脂肪酸のDHAやEPAを含むのも特徴です。

梅干しとの食べ合わせは相性が良い?

 栄養豊富なウナギですが、昔から「梅干しと食べてはいけない」といわれています。しかし栄養面では、一緒に食べても相性が悪いところはとくにありません。そういわれるようになった背景には、次の2つの説が考えられます。

 ひとつは、食中毒を防ぐためです。冷蔵庫がなく、食品の保存環境が悪かった時代でした。ウナギは腐敗すると酸味が出ますが、酸っぱい梅干しと一緒に食べると気づきにくいため、一緒に食べないほうが良いといわれるようになったという説です。

 もうひとつは、食べすぎを防ぐためです。梅干しの酸味には食欲を促す働きがあり、口の中がさっぱりとするので、つい食が進みます。体のことを考えて、あるいは高価なウナギをたくさん食べないように、そのような通説が生まれたのかもしれません。

 むしろ、現代のような猛暑の中で、ウナギと梅干しは一緒に食べたい組み合わせです。ウナギの豊富なビタミンB群はエネルギー代謝を助け、梅干しに含まれるクエン酸はエネルギー産生をサポートし、疲労回復効果に期待できます。それぞれ異なる面から体を支えてくれるため、夏バテ対策という観点では相性の良い食べ合わせといえるでしょう。

トマトやパプリカなどもウナギと相性が良い

 梅干しに限らず、暑さを乗り切るためには、ウナギと、トマトやパプリカなどの夏野菜を一緒にとるのも良い組み合わせです。トマトにはクエン酸に加え、抗酸化作用を持つリコピンが豊富に含まれています。リコピンは脂溶性のため、ウナギの脂質と一緒にとることで吸収されやすくなります。

 パプリカは、免疫機能の維持に必要なビタミンCが豊富です。ウナギにはビタミンCがあまり含まれていないため、パプリカを合わせることで不足する栄養素を補い、食事全体の栄養バランスを整えることができるでしょう。

 今年の土用の丑の日は、ウナギだけを食べるのではなく、副菜も添えて、栄養バランスを意識してみてはいかがでしょうか。暑さで食欲が落ちやすい季節だからこそ、食べ合わせを工夫して、元気に夏を乗り切りましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾