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墓参りが負担、継承に不安… “お墓の引っ越し”の実際は? 「改葬」に関するアンケート調査
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お墓も「引っ越し」ができることをご存じでしょうか。厚生労働省のウェブサイトによると、お墓の引っ越しは「改葬」と呼ばれ、お墓や納骨堂に納めた遺骨は公的な手続きを経ると、他のお墓や納骨堂へ移すことが可能だそうです。用語と関連法は以前から存在していましたが、同省の統計によると実施件数は多少の増減がありながらも増加傾向にあります。また、民間企業が行った「改葬」に関するアンケート調査からは、現代ならではの墓事情もうかがうことができるでしょう。
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少子高齢化で増えるお墓の問題 他人事ではない?
仏事関連総合サービスの株式会社メモリアルアートの大野屋は2020年4~5月、同社で「改葬」を行った496人を対象にアンケート調査を実施しました。その結果、引っ越しを考えた理由(複数回答可)は「墓参りの身体的負担(301件)」が1位に。次いで「子や孫に負担をかけたくない(267件)」「お墓を守る人がいなくなった(117件)」が続きました。また「お寺との関係維持が困難」も53件となっています。
2位の「子や孫に負担をかけたくない」は、今年度調査から追加された選択項目ながら多くの回答を得る結果になりました。2008年と2014年の調査では上位が「身体的負担」「遠さ」「出費」と、核家族化・都市化の影響を示唆する結果でしたが、今後は少子高齢化社会の急速な発展も加わることが考えられます。
次に移転先を選んだ理由(複数回答可)では、1・2位に僅差で「霊園の環境が気に入った(312件)」と「自宅や親族宅から交通の便が良かった(303件)」が並びました。お墓参りをしたくないのではなく、環境と交通の便さえ整えば積極的な訪問を希望する意識があるようです。実際、移転後にお墓参りの回数が「増えた」との回答は、約6割に達しています。また、移転前の墓地形態の最多は「寺院墓地(167件)」でしたが、対する移転先の最多は「宗教不問の民間霊園(311件)」に。代々お世話になっている寺院の墓地が地元にあり、現在の居住地からは離れているケースが多いと考えられます。
実際に何を移転させたかという設問では「遺骨のみ」が62%、次いで「遺骨と墓石」が31%で続きました。移転における実際の苦労として、1・2位には「各種行政手続き(176件)」と「移転先の墓地選び(171件)」が挙げられ、少し離れて「お寺との調整(100件)」となっています。行政手続きは先にお墓がある地域の役所で行うため、現在の居住地と離れていると移動や時間の捻出に手間がかかるようです。
最後は気になる費用について。移転先が「一般墓地」の場合、平均額は281.7万円という結果になりました。内訳は「移転元での費用」が49.5万円、「移転先での費用」が216.5万円、「その他諸経費(交通費や手続き)」が15.7万円です。同社の2014年調査からは全体で17.8万円下がっていますが、内訳を見ると「その他諸経費」が下がっており、「移転元での費用」と「移転先での費用」はほぼ横ばいでした。
(Hint-Pot編集部)