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「地球の歩き方・東京」コロナ禍でまさかの大ヒット! それでも編集部が「シリーズ化は無理」と断言する理由

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 佑輔

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「地球の歩き方・東京」表紙【画像提供:ダイヤモンド・ビッグ社】
「地球の歩き方・東京」表紙【画像提供:ダイヤモンド・ビッグ社】

 2020年9月1日に発行されたばかりの「地球の歩き方・東京」が売れに売れています。初版発行の1万5000部は発売から2週間あまり経った9月16日に完売。今は3度の増刷をかけ4万7000部を発行するも、注文待ちの状況が続いているそう。ガイドブック市場では、パリやニューヨークといった海外屈指の有名どころでも“10万部で成功”とされる中、「地球の歩き方・東京」はなぜ驚異的なペースで売れ続けているのでしょうか。「地球の歩き方」シリーズの宮田編集長、担当編集者の斉藤麻理さんに話を聞きました。

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実は難しかった「国内版」制作 読者が求めるニーズの高さ

 約1年半前、「地球の歩き方」創刊40周年と東京五輪開催を記念して立ち上がったという「東京版」の企画。これまで“海外版”で世界各地のガイドブックを作ってきた知識と経験を結集し、日本人をターゲットにした東京の観光ガイドブック制作がスタートした。長年海外版の制作に携わってきたスタッフにも、初の国内版制作には多くの困難があったという。

「内容は元々、100%日本人向け。五輪で日本中から東京に来られる方々をターゲットに企画を始めましたが、言葉の通じる国内だからこそ、今は身近な情報がそこら中にあふれている。2000円弱のお値段を払って買っていただく以上、ネットや雑誌でも取り上げられるような流行の場所はあえて少なめに、江戸時代やもっと古くから親しまれる普遍的なものを多めに取り上げました」(斉藤さん)

 元々、ガイドブックではその国や都市についての情報はもちろん、そこを訪れる旅行者、つまり読者のニーズも大きな要素の1つとなる。外国人向けのガイドブックであれば、欧米人向け、アジア人向けでも大きく傾向が異なるという。

「インバウンドの外国人向けのガイドブックであっても、国によって航空券の価格、訪れる旅行者の年齢層や頻度も違う。アジア各国からは何十回と訪れる人がいるので、常に新しい情報を取り入れ、写真や流行重視のいわゆる“映える”スポットを厚めに扱いますが、一方で欧米人向けの日本紹介は歴史や文化が多め。同じように、日本人向けのガイドブックの場合、韓国版で韓国ドラマのロケ地を紹介することはあっても、ドイツ版ではそういった紹介の仕方はしません」(斉藤さん)

 今回、「日本人に向けた東京」にも多くのこだわりがあるという。

「日本の方向けだからこそ、掘り下げ方には力を入れました。“文豪が愛したグルメ”という紹介は、同じ日本人だからこそ興味が湧くもの。銭湯でも、外国人向けは見た目のレトロさや利用時の注意に力を注ぎますが、今回はタイル絵の作者や、昭和何年に創業して当時から何度のお湯だったかとか、『そんなところまで?』という情報量に力を入れています」(斉藤さん)