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貯蓄額の理想と現実、差額は1800万円!? 老後資金が足りないと考える60代は9割超
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「宵越しの金は持たない」という言葉も今は昔。「人生100年時代」と言われる現代において、親の介護、子育て資金、老後の資金など、お金が必要となる局面はいくつも現れます。計画的にお金を使うことを考えなければいけませんが、そのためにはまず使うためのお金を貯蓄することが必要でしょう。老後資金に関する調査から、貯蓄の現状や抱える不安などが見えてきました。
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60代が理想とする貯蓄額は3000万円だが…
松井証券株式会社は2020年9月、子どもと親のいる全国の20~60代の男女800人を対象に「老後資金に関する調査」を実施しました。
まずは、「現在の世帯貯蓄額と、理想の世帯貯蓄額」について。実際の世帯貯蓄額の年代別中央値は、20代が100万円、30代が300万円、40代が350万円、50代が500万円、60代が1200万円でした。一方、理想の世帯貯蓄額の年代別中央値は、20代が480万円、30代と40代が1000万円、50代が2000万円、60代が3000万円という結果に。
理想の貯蓄額と実際の貯蓄額にはすべての年代において大きな差があり、しかも年代が上がるにつれてその差が大きくなることが分かりました。最も差が大きかったのは60代で、実際は1200万円、理想が3000万円と、差額は何と1800万円! 理想と現実のギャップはなかなか埋めがたいようです。
「子どものため」の貯蓄は40代がピーク
次に「あなたは誰のために貯蓄をしていますか」という設問では、「自分たち夫婦のため(71.3%)」と答えた人が最多、次いで「子どものため(67.6%)」「自分のため(21.8%)」が続きました。
これを世代別に見ると、「自分たち夫婦のため」と回答した割合に大きな差は見られませんでしたが、「子どものため」は20代で85.0%、30代で87.5%、40代で83.1%といずれも8割超となっており、50代で50.0%、60代で32.5%と50代以降で一気に低下。世代によって大きな差があることが分かりました。
なぜこうした傾向が見られるのでしょうか。そこで、貯蓄する理由を目的別に尋ねたところ、「子どものため」の理由では「学費(67.3%)」がトップ。次いで「いざという時の備え(50.8%)」「子どもの結婚(31.4%)」と続きました。
一般的に学費が必要となる年齢は大学を卒業する20代前半まで、就職や結婚で独立する時期もだいたい20代~30代が大半です。このため、50代以降は子どものために貯蓄する必要がなくなる傾向にあるのでしょう。考えてみれば当然ですが、貯蓄の目的が変化することをあらかじめ踏まえていれば、計画的な貯蓄を行いやすいかもしれません。