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ランニングによる防犯活動「パトラン」が女性4割の理由とは コロナ禍で新たな発展も
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ランニングを通じて行われる革新的な防犯パトロール「パトラン」。2012年に開始され、参加へのハードルの低さや無理なく活動できることから、今では40都道府県で計2100人が登録するなど大きな広がりを見せています。そんなパトランについて、運営団体理事の栗原咲子さんに話を伺いました。誕生のきっかけや全国的なムーブメントとなった背景をお聞きした前編に続き、後編では女性メンバーの参加やコロナ禍での活動をお伝えします。
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女性ならではの目が生かされる場面も
「認定NPO法人改革プロジェクト」(以下、改革プロジェクト)が運営するパトラン。参加にあたる登録は無料で、ユニフォームの「パトランTシャツ」を購入するのみ。活動自体も長時間に及ばず、ウォーキングによる参加も可能。活動へのハードルの低さもあってか、メンバーの4割が女性というのも大きな特徴になっています。ただ、改革プロジェクトの理事を務める栗原咲子さんによると、この数字には“女性ならでは”の理由もあるそうです。
「パトランに参加される女性で多いのは、『夫から夜の運動は危ないからやめるようにと言われて外に出られなかった』という人ですね。ただ、これがパトランになると一緒に活動してくれる人がいるので安心ですし、おまけに地域の役にも立てるわけですから、夜の運動を許してもらえるようになるんです」
そうしてパトランに参加する女性が多くなると、男性だけでは気付けなかったかもしれない視点が生かされるといいます。
「活動を始める前にパトロールのルート設定をするのですが、子育てをされている方や子育てを終えた方からの意見が役立てられる場面は多いように思います。というのも、通学路や塾への送り迎えのルートなど、生活密着型の情報への感度が優れているからです。ルート設定で『ここってそんなに子どもが通っていないよね』と指摘されることもあります」
また、地域に密着した活動を展開するパトランには、地域住民とのコミュニケーションを目的に、「すれ違った人とは目を見て挨拶」というルールが。ここでも、女性メンバーが参加することのメリットがあるそうです。
「例えば、暗がりの中で地域住民と挨拶する際、男性だけの声だと明らかに返答率が低いんです。どうも不信感を持つようで。ただ、ここに女性の声が混じると安心材料になるのか『こんばんは』や『お疲れ様』といった声をかけてもらえることが間違いなく多いですね」