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「こちら警察です」の電話に要注意 高齢の母があわや詐欺被害に 新型コロナでさらに凶暴化? アラフィフ娘の実録
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高齢者に電話やはがきなどで親族や公共機関の職員等になりすまして信頼させ、現金やキャッシュカードを騙し取る「特殊詐欺」。令和元年の被害額は300億円を超えており、膨大な金額が犯罪者の手に渡っています。認知症の父と向き合う筆者が綴る連載「アラフィフ娘の明るい介護」。今回は、父の入院で1人暮らしとなった母の身に降りかかった、特殊詐欺未遂事件について記したいと思います。
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キャッシュカード詐欺盗が急増中 預金口座や家族構成を聞き出され… 実際の手口とは
父の介護問題を書かせていただいている、ライターの和栗恵です。
今回は父のことではなく、母が危うく特殊詐欺の被害に遭いそうになったお話を書かせていただきます。
2020年5月16日、実家の母から電話がかかってきました。
母は少し興奮しているようで、最初のうちは何を言っているのかよく分からなかったのですが、よくよく話を聞いてみると「警察」を名乗る人から自宅へ電話がかかってきたそう。その要件は、「今日、怪しい男性が逮捕され、母の通帳の情報を持っていた」というもの。そして「今すぐにでも、預金が減っていないか確認しに行ってほしい」と言われたと言うのです。
たまたまその日の午前中に銀行に行き、メイン口座の残高を把握していた母は、「今朝、○○信用金庫に行ったけど、何も怪しいことはなかったわよ」と、その電話先に告げました。
すると電話先の相手は「詳しいお話を聞きたいので、担当の者に変わります」と母に伝え、電話を代わったそう。新たに出てきた電話口の男性は刑事を名乗り、こう聞いてきたといいます。
・○○信用金庫の口座の残高はいくらあるか
・他に貯金、預金している口座は持っていないか
・現在、同居している家族はいるか
事の顛末を私に話し終えた母は、なぜかホッとしたように言いました。
「まったくねぇ。私の通帳の情報なんて、どこで手に入れたのかしら~。怖い世の中よねぇ。それでも、警察が電話してきてくれて良かったわ」
電話口で思わず怒りたくなるのをこらえ、母に言いました。
「お母さん。あのね。警察の人がお母さんの銀行口座の金額を聞いてくることなんて絶対にないよ。それ、詐欺だと思う。今すぐ警察に電話して『先ほど電話をいただいた件で、お尋ねしたいことがあるのですが……』って確認してごらん」
すると母は「え? でも警察からの電話だったのよ?」とびっくりした様子。「いいから電話してみて。それで結果を教えて」と電話を切ると、30分ほど経った頃に再び母から電話がかかってきたのです。
「あなたの言う通りだった! そんな電話はしていないって。で、詳細を聞きたいから、これから警察の方が家に来るって言うのよ!」