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フィリップ殿下の背後に“秘密の扉” 最後の肖像画に描かれた大きな意味とは?
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フィリップ殿下の生涯を伝える展覧会がウィンザー城で開催中だ。1953年のエリザベス女王戴冠式で殿下が着用したローブをはじめ、実際の愛用品などが多数展示される中、初の一般公開となる最後の肖像画が話題を呼んでいる。そこに描かれたモチーフからは殿下のルーツが垣間見えるという。
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殿下が引退した2017年に描かれた最後の肖像画
9月20日までウィンザー城で開催されている展覧会「Prince Philip:A Celebration」。エリザベス女王を支え続けたフィリップ殿下の生涯を、愛用品や絵画、文書などで振り返る内容だ。殿下が最後の数か月を過ごした場所を会場としているだけに、その場の雰囲気すべてが生前の殿下を強く感じさせる内容になっている。
キュレーションは「ロイヤル・コレクション・トラスト」が担当しており、1953年のエリザベス女王戴冠式で殿下が着用したローブやバッキンガム宮殿で使用していたデスクなど、多くの貴重な展示品が用意されている。目玉の1つとされているのは、殿下が引退した2017年に描かれた最後の肖像画だ。
今回が初の一般公開となる横2.3メートル、縦1.6メートルの巨大な肖像画は、オーストラリア出身の画家ラルフ・ハイマンス氏が手がけたもの。ウィンザー城の大回廊に立つ殿下が写真と見間違えるほど写実的に描かれ、その周辺には殿下の生涯を示すいくつかのポイントが隠されている。
ウィンザー城に対する殿下の思いを凝縮
まず、殿下が身に着けているサッシュ(儀礼などで肩にかける勲章付きのリボンベルト)はデンマークのエレファント勲章。これは殿下がギリシャとデンマークの王族として生まれた事実を改めて認識させるポイントだ。
だが、英雑誌「ハロー」が掲載した記事によると、ハイマンス氏は肖像画の殿下が立っている空間にも大きな意味があると語っている。殿下が立つ廊下の先に見える扉は、殿下の母アリス王女(アリス・オブ・バッテンバーグ)と母方の祖母ヴィクトリア王女(ヴィクトリア・マウントバッテン)が生まれた部屋なのだ。
殿下のウィンザー城に対する思いは、英大衆紙「デイリー・メール」の王室記者リチャード・ケイ氏が発表したコラムでも綴られている。3月の退院後にウィンザー城へ戻った殿下は、「どの病院にも戻らない」と宣言。「彼(フィリップ殿下)にとっては、自分のベッドで亡くなることが重要だった。日付は重要ではない。ヴィクトリア女王のひ孫である母アリス王女がウィンザー城で生まれたことの方が、はるかに重要だった」という。
ハインマンス氏はまた、殿下が絵画を修練していたことも明かした。肖像画の制作プロセスに関しても非常に熱心で、会話を楽しんでいたという。「それは本当に楽しい経験であり、非常にスペシャルな特権でした」と語っていた。
ウィンザー城で生涯を終えることが何よりも重要だったといわれている殿下。母と祖母が生まれた部屋を背景にしたこの肖像画も、殿下にとっては最高の喜びだったのだろう。ファンならいつかぜひ鑑賞したい一枚だ。
(Hint-Pot編集部)