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フィリップ殿下は「私の親愛なるパパ」 チャールズ皇太子の愛ある賛辞が共感呼ぶ
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繊細な長男を案じた男性的な父親。チャールズ皇太子とフィリップ殿下の関係はそのように伝えられ、人生のさまざまな場面で意見の衝突もあったという。王配(君主の配偶者)である父と王位継承順位1位の息子との関係には一筋縄では行かない複雑さもあり、ネットフリックスドラマ「ザ・クラウン」でも強調して描かれていた。しかし、報道陣の前に立った皇太子の別れの言葉は温かく、また「my dear papa」(私の親愛なるパパ)と呼びその深い親愛の情を示したことで、大きな共感を呼んでいる。
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「2人の間には純粋な愛、気遣い、そして理解が存在した」と情報筋
英大衆紙「デイリー・メール」をはじめ、英メディアが一斉に報じたところによると、チャールズ皇太子は現地時間10日、グロスターシャー州の私邸ハイグローヴでカメラの前に立った。そして、フィリップ殿下崩御についてロイヤルファミリーを代表し「私の父は過去70年にわたり、女王と家族、国だけではなく、コモンウェルス(英連邦)全体に対し、誰よりも献身的にすべてを捧げました」と、亡き父親に対する哀悼の言葉を述べ始めた。
短いが、愛にあふれた言葉が並んだ。「家族と私は父の不在を非常に悲しんでいる」「本当に愛され、敬われた人物だった」「私の親愛なるパパはとても特別な人だった」――そして最後にはシンプルに「サンキュー」(ありがとう)と締めた。
「メール」紙のコメント欄には「素晴らしい男のための何と美しい言葉」「私も父が恋しい」「何て素敵なパパへの賛辞」といった共感の声が寄せられている。
皇太子に近い複数の情報筋によると、皇太子は頻繁に殿下と連絡を取り合い、親密な時間を過ごしていたという。そして今は、父親の死を穏やかな心で受け止めることができているそうだ。
「2人の間には純粋な愛、気遣い、そして理解が存在しました。そして、それらは誰もが最後の瞬間に大切にするものです。チャールズ(皇太子)とフィリップ(殿下)の間にはある種の緊張が存在するという話もありましたが、それは真実からはほど遠いことです。最後の時間を通じて2人はしっかりすべてを打ち明けて、お互いに言い残したことはありませんでした」
最愛の父親との別れはこのように過ごしたい。誰にもそんな思いをよぎらせる、殿下と皇太子の別れの様子が伝わってくるような証言だ。
「私の親愛なるパパは本当に特別な人でした」――息子にそう言われて送られた殿下。99歳の大往生に改めて敬意を示したい。
(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)