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ヘンリー王子夫妻の“擁護派”は1人だけ 極端なテレビ番組が英国で制作される理由とは

著者:森 昌利

ウイリアム王子とヘンリー王子【写真:AP】
ウイリアム王子とヘンリー王子【写真:AP】

 これまでも長きにわたって報じられ、現地時間1日に執り行われたダイアナ元妃銅像の除幕式でも大きな注目を集めた兄ウイリアム王子と弟ヘンリー王子の確執。王室専門家たちがその根深さを指摘する一方、4日夜には兄弟のこれまでを深く掘り下げるドキュメンタリー番組も放送され、専門家たちはそれぞれの感情的な立ち位置を明らかにした。1993年に渡英して以来、現地の話題や情報の最先端に身を置き、「Hint-Pot」で英王室関連記事を寄稿している英在住ライター・森昌利氏もこの番組を家族で視聴。番組や英国人の立場で視聴した家族の意見から得た気付きなどを綴っていただいた。

 ◇ ◇ ◇

ゴールデンタイムに放送された“兄弟の確執”ドキュメンタリー番組

 子どもの頃、自分の好きな時に好きなテレビ番組が観られたらいいのにと思ったものだが、現代はまさにそういう時代。映像すべてがデジタル化され、いとも簡単に動画配信される。Wi-Fiにつながった携帯さえあれば、どこでもどんな時でも何だって観ることができてしまうのだ。一方、家族がお茶の間でテレビを囲んだ団らんは遠い過去のものになっている。

 しかし、先週の土日は、珍しく家族でテレビを囲んだ。3日の土曜日にはサッカー「ユーロ2020(欧州選手権)」の準々決勝でイングランドがウクライナと対戦。長男と妻の3人でリビングルームのテレビを囲み、母国が4-0で勝利した試合を観た。何でもこの日、人口約5600万人のイングランドで2090万人がテレビの前に座り、4200万杯のビールが飲み干されたという。

 そして翌4日の夜、今度は妻と初年度のテストが終わって大学の寮から帰ってきた娘の3人で民放ITVのドキュメンタリー「Harry & William:What Went Wrong?(ハリーとウイリアム:何が悪かったのか?)」を映すテレビの前に座った。

 タイトルからも分かるように、この番組は最近――もうずいぶん長い間にわたって報じられているので“近年”と言い直した方がより正確か――英国をはじめ世界のメディアが注目するウイリアム王子とヘンリー王子(愛称ハリー)の確執を、そうそうたる王室専門家たちの解説とともに追ったドキュメンタリーだ。

 ウイリアム王子とヘンリー王子の内情を綴った「Battle of Brothers(兄弟の戦い)」で知られる王室作家のロバート・レーシー氏、王室メンバーの伝記を数多く手がけている王室作家のペニー・ジュナー氏、雑誌「ヴァニティ・フェア」の王室担当編集者のケイティ・ニコール氏、ヘンリー王子夫妻の非公式伝記「Finding Freedom(自由を求めて)」の共同著者でジャーナリストのオミッド・スコビー氏、英高級紙「テレグラフ」の王室編集者カミラ・トミニー氏、テレビコメンテーターのエマ・ジョーンズ氏など、日本の王室ファンなら何度も目にしている名前がずらりと並んだ。

「正直ここまで悪いとは思わなかった」と漏らした筆者に英国人の妻は

 筆者も連日、英国で報じられる膨大な王室関連記事に目を通している。兄弟王子の確執は手を替え品を替え伝えられるため毎日のように関連する記事を読んでいるが、この番組を見た感想は「正直ここまで悪いとは思わなかった」というものだった。

 そんな印象は、ニコール氏が番組の最後に「もしもこれが15世紀の中世なら、もうすでにこの兄弟のどちらかが死んでいると思います」と語ったことでより一層強まった。

 ところがその時、筆者が「ここまでひどいとはね」とつぶやいた一言に対し「あら、彼女の発言、的を射ていると思うわよ」と我が愛妻が応じた。

 そしてリチャード1世が父ヘンリー2世や弟王子ジョンと繰り広げた骨肉の争いの話を始めた。リチャード1世は12世紀にその勇猛さで「リチャード・ザ・ライオンハート(獅子心王)」と呼ばれ、イングランドの歴史的英雄となった王様。妻は彼女にとってのヒーローであるエリザベス1世をはじめ、この手の英国英雄伝に詳しいのだ。

 かいつまんで話すと、ヘンリー2世の第3王子として生まれたリチャード1世は、対立した父の死去後、イングランド王に即位。だが、十字軍遠征でイングランドを留守にしていた間にジョンがちゃっかり王位を奪うという事態を招き、兄弟間の争いが絶えなかったという。そういえば、日本でも親兄弟で激しい争いが起こった歴史はある。

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