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ヘンリー王子は「一体何を成し遂げたいのか」 回顧録の出版発表に王室専門家から疑問の声

公開日:  /  更新日:

著者:森 昌利

ヘンリー王子【写真:AP】
ヘンリー王子【写真:AP】

 英ペンギン・グループと米ランダムハウスの合併で生まれた大手出版社ペンギン・ランダムハウスは、公式ツイッターでヘンリー王子の回顧録出版を公表した。王子は自分の言葉でダイアナ元妃と過ごした子ども時代からアフガニスタン派遣、そして問題の“王室引退”など、当事者としてすべてを語るという。これを受けて、英国内では早くも王室との関係悪化を不安視する声が上がっている。

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初稿はほぼ書き上げられているとの報道も

「この本は王子として生まれてきた私ではなく、今1人の男として書いている」……印象的なフレーズとともに発表されたヘンリー王子の回顧録出版。英国内外で報じられると同時に、大きな衝撃をもたらしている。

 米ニュースサイト「ページ・シックス」が情報筋の話として報じた内容によると、王子の言葉をまとめるのは「ロサンゼルス・タイムズ」に発表した1999年の記事で翌年の「ピューリッツァー賞」を受賞し、ジョージ・クルーニーが自伝の映画化を手がけることでも話題になったJ・R・モーリンガー氏だという。

 また、締め切りは8月から10月に伸ばされたが、初稿はほぼ書き上げられているとも報じている。一方で、出版を発表したランダムハウスのツイート(@randomhouse)は「2022年後半に全世界で出版予定」としており、なぜ1年後になるのかは不明だ。

 英大衆紙「デイリー・メール」が掲載した記事によると、王室作家のロバート・ジョブソン氏はこの回顧録が「ロイヤルファミリー内にさらなる不和をもたらすことになるでしょう」と語り、王子のさらなる暴露の予感に眉をひそめた。同氏は2002年、ダイアナ元妃が仏パリで見舞われた悲劇の真相に迫る著作を出版している。

 同氏はヘンリー王子がこの本でさらなる暴露をすることは「避けられない」との考えを示す一方、「しかしながら、ここでさらに彼の妻(メーガン妃)が主張した人種差別問題やメンタルヘルス問題の詳細を明かせば、王室に多大なダメージを与えることになるでしょう」と、王室への影響を懸念した。

 さらに「ハリー(ヘンリー王子)はもうすでにリッチで世界的な知名度があります。この本の出版には何のメリットもありません。彼が一体何を成し遂げたいのか、私には分かりませんが、ハリーが何を言おうとそれは不和をもたらすだけです」と出版する意図自体に対して疑問を呈した。また、離婚歴のある米国人女性と結婚するために退位したエドワード8世の回顧録出版に言及し、「それ以来の衝撃を王室に与える」とも予言している。

 王室評論家のリチャード・フィッツウィリアムズ氏は、出版までに「まだ時間がある」と指摘した上で、「サセックス(ヘンリー王子夫妻)の問題は何事でも公にしたがることですが、この回顧録の出版内容を交渉材料にして、自分たちの希望を引き出す狙いがあるのかも知れません」と発言。出版の陰で新たなせめぎ合いが発生する可能性を示唆している。

(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)