どうぶつ
殺処分間近に救われたねこ 里親募集写真を撮影中のハプニングに24万人ほっこり
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黒ねこがつるんと滑る決定的な瞬間を収めた写真がツイッター上で話題です。実は殺処分目前で救い出されたというこの子ねこ。現在は野良猫の避妊虚勢を専門に行う動物病院「スペイクリニック北九州」(@Spaykitaq)に保護されています。病院を経営する柴崎さんに詳しい話を伺いました。
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北九州市の動物病院で保護 3匹の子ねこが里親を募集中
戸棚の中でよろめいている子ねこ。何かに掴まろうと伸ばした左手は空を切るだけ。体勢を崩した子ねこを撮影したところ、目や体がぶれて流れていく様子を見事に収めた一枚になりました。
撮影したのは、野良ねこの避妊・去勢手術を専門に行う病院「スペイクリニック北九州」(北九州市小倉北区)の柴崎さん。「これは滑ってころびゆく黒猫」と、写真に添えられた一文も哀愁を誘います。
7月に生後1か月ほどのオス1匹とメス2匹が殺処分されることを知った柴崎さん。よろめく黒ねこはこの時に他市の保健所から引き出した3匹のうちの1匹です(補足:北九州市では殺処分をしてません)。今回の写真は、3匹の里親を募集するためサイト掲載用の写真を準備していた最中に偶然撮影されました。
「かわいく写ったものを掲載しようと、連写で撮影していました。失敗した写真ですが、捨てがたくてツイッターに投稿しました」
「あわわわわわ」と声が聞こえてきそうな黒ねこの写真は話題を呼び、24.5万件の“いいね”が集まりました。また、「漫画みたい」「奇跡的な写真!」など、たくさんのリプライ(返信)が寄せられています。
悲惨な死を減らすスタート地点に
柴崎さんが経営する「スペイクリニック北九州」は、野良ねこの避妊や去勢を進めることで繁殖を防ぐ「TNR先行型地域猫」の活動に賛同し、2021年5月に開業しました。柴崎さんは個人で子ねこの育成と譲渡を行っており、クリニックが始まる前の4月からは、毎月10匹ほどのねこを里親につないでいるそうです。
そして「クリニックが、悲惨な死を減らすスタート地点になれば」と願い、賛同した獣医が休日返上で協力してくれているそう。「開業したばかりのクリニックで、人手(獣医・看護師・スタッフ)が足りていません。活動に興味があったら声をかけていただけるとうれしいです」と、柴崎さんは呼びかけます。
クリニックには、動物に話しかける時はワントーン声が上がるという獣医を筆頭に、病気のいぬを引き取り自費で治療した後に里親とつなぐ活動をしている動物看護師など、動物好きが集まっているとのこと。
そんな優しいスタッフに囲まれ、話題の子ねこを含む3匹は少しずつ環境に慣れ、今ではジャンプの練習をするなど活発になってきているよう。転んだ後も、元気いっぱいに遊び回っていたそうです。
たくさんの反響に驚く柴崎さんですが、肝心の里親は「まだ見つかっていない」とのこと。「これをきっかけに、保護ねこや野良ねこについてちょっと気に留めてくれたらうれしいなと思います」と思いを込めています。
(Hint-Pot編集部)