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秋イワシの鮮度どう見分ける? カルシウム摂取や脳の活性化に関する栄養素も豊富

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

“弱い”魚だけど…カルシウム摂取や脳の活性化に関する栄養素が

カルシウムやビタミンDが豊富なシラス干し(写真はイメージ)【写真:写真AC】
カルシウムやビタミンDが豊富なシラス干し(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 イワシは見た目が小さめで名前の通り“弱そうな魚”ですが、秋においしいサンマやサバと同じ「青魚」。現代人が摂取したい栄養をたっぷり含んでいます。主な3つの栄養素を解説しましょう。

○DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)
 それぞれ近年注目されているオメガ3脂肪酸です。摂取したα-リノレン酸から体内で合成されることはありますが、基本的には体内でほとんど作ることができない不飽和脂肪酸のため、食物からの摂取が推奨されています。

 DHAは脳の活性化と関係があり、特に認知症の予防や記憶力の向上に関する効果が期待されています。またEPAは血流を促して血管をしなやかに保つ働きがあり、動脈硬化や血栓の予防に役立つと言われています。

○カルシウム
 骨や歯を作る成分。骨粗しょう症予防に欠かせない栄養素ですね。この他、細胞の分裂や分化、イライラなどの神経興奮の抑制などにも働きます。日本人の食事摂取基準2020年版の成人女性の一日の推奨量は650ミリグラム、成人男性は800ミリグラム(30代からは750ミリグラム)。日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、生のマイワシ100グラムあたり(目安として大きめ1尾)に含まれている量は74ミリグラムと豊富です。

 ちなみに半乾燥のシラス干しは100グラムあたり520ミリグラム。個人差はありますが、1食分の適量として25グラムを目安にすると130ミリグラムです。カルシウム不足が気になる人は上手に取り入れてみましょう。

○ビタミンD
 カルシウムの吸収率を上げるうれしい栄養素です。最近では免疫機能の向上に関与することが分かってきており、風邪の予防など丈夫な体作りに役立つとして注目されています。特に多く含むイワシの加工品はシラス干しやたたみイワシ。たたみイワシはシラス干しを薄い板状にした加工品で、ごはんと一緒でも、さっとあぶってそのまま食べてもおいしいですよ。

鮮度の良い見分け方とおいしい食べ方

汁物にしてもおいしい(写真はイメージ)【写真:写真AC】
汁物にしてもおいしい(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 鮮度の良いイワシを見分けるポイントは目の色。黒く澄んでいるものを選ぶと良いでしょう。鮮度が落ちるほど赤みがかった色になります。

 胴体にハリがあり、黒の点がはっきりしていて、ウロコが付いているのも新鮮な証拠。もし見られるならエラの裏側でも鮮度が分かります。おすすめは鮮やかな赤色。黒っぽいものは鮮度が良くありません。

 小骨が多いため、さばくのに少々手間がかかります。家でフライなどにするなら手でもさばける魚です。つみれにしてもおいしいですね。包丁でたたきすり身状にしたら小麦粉と薬味を加えて混ぜます。薬味はショウガやネギ、ニラ、ゆずなどが良いでしょう。細かく刻んだ風味豊かな薬味を混ぜることにより、イワシの独特の臭みがやわらぎます。

 つみれ汁はしょうゆを使うことが多いかもしれませんが、みそを使うことにより臭みを抑え栄養素もアップします。カレー粉を加えたカレー風味のつみれや加熱により吸収率が高まるリコピンが豊富なホールトマト缶を使ったつみれのトマトスープなどアレンジしてみてはいかがでしょうか。

 また、イワシの水煮缶詰を使うと調理が手軽です。普段の献立に使いながらストックしておくと、非常食としても常備できます。骨まで食べられるのもメリットです。簡単なの使用法として、いつものカレーやみそ汁に缶詰を汁ごと加えること。余すところなくイワシの栄養が摂取できますので、ぜひお試しを。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾