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メーガン妃 非公式伝記「無関係」にした理由とは 再度裁判なら王室を“道連れ”に?

著者:森 昌利

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メーガン妃【写真:AP】
メーガン妃【写真:AP】

 メーガン妃が父に送った手紙の紙面掲載をめぐり、英大衆紙の運営企業をプライバシー侵害などで訴えた裁判。英高等法院は2月、妃の訴えを認める略式判決を下した。だが、運営企業側の控訴により、ヘンリー王子夫妻の元報道官による証人陳述書やテキストメッセージなどの全文が公開されたことで状況が一変。新局面を迎えた妃に対し、妃の自伝を執筆中の伝記作家トム・バウワー氏が、妃の英国における今後の状況を厳しく予見した。

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「自身の本性を隠すため過去5年間にわたって構築してきた“秘密の壁”に亀裂が入った」

 先の裁判での被告側は、英大衆紙「メール・オン・サンデー」(デイリー・メール日曜版)などの運営企業「アソシエーティド・ニューズペーパーズ(ANL)」。控訴にあたり裁判所は、ヘンリー王子夫妻の元報道官ジェイソン・クナウフ氏の証人陳述書とテキストメッセージなどの全文を公開した。これにより、手紙は私信であるとする妃の主張が覆された形になっている。

「サセックス公爵夫人(メーガン妃)がロイヤルファミリーの一員となり、ウィンザー城のチャペルから美しい陽光の中へ歩み出て世界を喜ばせてからわずか42か月後、この米国女優は英国の高等法院に誤解を招いたことを謝罪しなければならなかった」

 伝記作家トム・バウワー氏が英大衆紙「ザ・サン」に寄稿したコラムは書き出しから辛辣だ。そしてコラムは、現状について「メーガン(妃)に対する信用性の崩壊は劇的だった」として、「オプラ・インタビュー(3月放送の暴露インタビュー)で非難されたロイヤルファミリーのメンバーはきっと微笑んだことだろう」と続けている。

 また、11日に追って公開されたテキストチャットとメールの全文には、完全に連絡が途切れたことからメディア上で実の娘である妃を糾弾し始めたトーマスさん対策のため、王室スタッフが妃を助けて守ろうと奔走した事実も明らかになっている。

 これを受けてバウワー氏は、妃が3月のインタビューで王室側が妃に「沈黙」を強制し、さらに「何もしてくれなかった」という主張が嘘だったことも明らかになったと指摘。そして「今週、メーガン(妃)が自身の本性を隠すため過去5年間にわたって構築してきた“秘密の壁”に、最初の亀裂が入った」と続け、公開されたメール全文からその具体例を挙げた。

 それは非公式伝記「Finding Freedom(自由を求めて)」の共同著者に対する協力を突如として完全否定した件。著者の一人であるオミッド・スコビー氏は当初、妃とその友人から協力を得たと主張していたとバウワー氏は言う。ところが一転、妃は「協力していない」と声明を発表した。しかも協力関係があるという報道は“虚偽”であり“単なる想像”さらに“陰謀も感じる”という強い表現も使われた。

 さらにバウワー氏は、この否定は同書内に父への手紙を引用した部分があったからだと指摘している。だが一方で、プライバシー侵害などで裁判を起こした以上、スコビー氏らを放っておくことはできない。そこで突然、無関係を世間に主張したのだという。

 公開されたテキストチャットとメールの全文には、クナウフ氏が著者2人と2時間対面で対応したこと、さらに表に出したいエピソードや視点を著者側に伝えたことがはっきりと記されていた。またのちにヘンリー王子はクナウフ氏に「(著者とは)無関係とすることに賛成だ」とする内容のメールを送っている。

チャールズ皇太子たちに「壊滅的な危害」が及ぶ恐れも?

 こうした状況を受けて、もし控訴審の開廷が決まれば妃側の不利が予想される。バウワー氏は、もし再度裁判が始まれば「メーガンは自身の父及び少なくとも4人の元スタッフに不利な証言をするだろう」とした上で、さらに妃が「深く憤慨しているチャールズ(皇太子)、ウイリアム(王子)、ケイト(キャサリン妃)に壊滅的な危害が加えられるだろう」とも推測した。

 王室に多大なダメージを与える可能性もあってか「彼女が先の裁判の裁判官を誤解させたにもかかわらず、控訴院が新しい裁判(控訴)の命令を拒否した場合、彼女は救われる可能性がある」とバウワー氏は付け加えたが、「その決定は騒ぎを引き起こすだろう。非常に洗練された英国の裁判では、訴訟の当事者が『きれいな手で法廷に来なければならない』ということだ(注:「クリーンハンズの原則」自分の手がきれいでなければ、法の保護を受けられないという意味で使われる)」とも主張した。

 そして最後に、ヘンリー王子夫妻の米ニューヨーク訪問に触れ、「鮮やかな真紅のドレスに身を包んだ『スカーレット・レディ』は、その微笑みで多数のファンに何も変化していないことを伝えた。彼女はこれまで通りやっていく。彼女の心中では、ロンドンで何が起こってもきらびやかな将来にはまったく無関係だ」と、またしても痛烈な表現でコラムを締めくくった。

 果たして本当に英ロンドンでの法廷闘争は米国在住のヘンリー王子夫妻にとって取るに足らない出来事になるのか。報道によると、裁判官3人は検討と結果にしばらくの時間を要すると発言している。

(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)