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アナとエルサも教えてくれる!? 名作映画3本で学ぶ世界のクリスマス事情

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

スカンジナビアのクリスマス情報がびっしりの名作アニメ

【欧州北部・スカンジナビア『アナと雪の女王 家族の思い出』(2017)】

『アナと雪の女王 家族の思い出』は、シリーズ3作目にあたる短編作品。26分の短編の中にスカンジナビアのクリスマス情報がびっしりな上、ストーリーとしてもとても良く練れており、大人も楽しめる作品です。

 冬に閉ざされたアレンデールを救い、姉エルサや雪だるまのオラフ、山男クリストフらと幸せに暮らすアナ。エルサが女王になって初めてのクリスマスの日、アナとエルサはお城の門を開き、広間にプレゼントやごちそうを用意して、王国の人々のために盛大なサプライズパーティーを開きます。

 サプライズパーティーを始めるのは「ユールの鐘」が鳴ってから。「ユール」とは北欧の言葉で「クリスマス」を指します。でも、ユールの鐘がクリスマスの始まりを告げたと思いきや、人々は家族と過ごすために帰宅してしまうのです。家族でクリスマスを過ごしたことのないエルサとアナはびっくり。特にエルサは、クリスマスの家族の伝統がないのは自分のせいだと落ち込んでしまいます。

 そんなエルサとアナのために、オラフはアレンデールの家々を訪ね、家でクリスマスにどんなことをするのかを調べて回ります。オラフの調査の結果、アレンデール王国のクリスマスは、北欧諸国の伝統的クリスマスととても似ていることが分かりました。それではアレンデール王国のクリスマスから北欧のクリスマス文化を見ていきましょう。

ノルウェーの伝統菓子「レフセ」【写真:Getty Images】
ノルウェーの伝統菓子「レフセ」【写真:Getty Images】

 ユールの鐘を聞いて帰途に就く女性が、家に帰って焼くというお菓子は「レフセ」。ノルウェー伝統のお菓子で、小麦粉を使ったスイーツと、ジャガイモを練りこんだ惣菜タイプがあります。

 男性がトムテにお供えするというのは、ミルク粥「ユールグロート」。トムテとは北欧で知られる赤い帽子をかぶった小さな妖精のこと。トムテはユールグロートが大好物なのだそう。幸運をもたらしてくれるトムテをもてなすために、スウェーデンではクリスマスイブにトムテのためのごちそうを用意するのだそうです。

 姉妹が作ると言っているのは「ボードスタベルバッケル」。長方形に焼いたビスケットを井桁に積み重ねたもので、ノルウェーではクリスマスに作られるものなのだそうです。

クリスマスツリーに飾られた「ユールボック」【写真:Getty Images】
クリスマスツリーに飾られた「ユールボック」【写真:Getty Images】

 アレンデールの家のクリスマス飾りや、お土産にしようとオラフがそりに摘んでいるわらで作られた馬「ユールボック(ユールゴート、クリスマスのヤギ)」。北欧神話に登場する雷神で農耕神のトールが戦車を引かせた2頭のヤギ、タングリスニとタングニョーストに由来するといわれています。わらで作られるようになったのは収穫に感謝し、翌年の豊作を祈る意味なのだそう。

 北欧ではヤギの格好をした人がプレゼントという形で供物を要求していたとのこと。それがある時期からクリスマスのプレゼントを配る役割に変化し、フィンランドのある地域では今でもサンタではなく、ユールボックの扮装をした男性がプレゼントを配るとか。

 わらを赤いリボンで縛ったユールボックは、現在はクリスマスのオーナメントとしてツリーの近くに飾られます。気づかれないように近所の家に置くというクリスマスの遊びにも使われるそうです。

(関口 裕子)

関口 裕子(せきぐち・ゆうこ)

映画ジャーナリスト。「キネマ旬報」取締役編集長、米エンターテインメントビジネス紙「VARIETY」の日本版「バラエティ・ジャパン」編集長などを歴任。現在はフリーランス。