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お肉をがっつり食べるスペインのクリスマス 地方色豊かなメニューを現地から紹介
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子豚や子羊のオーブン焼きが定番 カタルーニャ州では凝ったクリスマススープも
メインは場所によって変わりますが、がっつりお肉を食べるのがスペイン流。首都のマドリードや南部のアンダルシア州では、子豚のオーブン焼きが定番です。まだ、ミルクしか飲んでいない子豚は臭みがなく、オーブンで焼くと外側の皮はパリッと香ばしく、中のお肉はジューシーで非常に美味。ですが、子豚の頭までついてくるのは実にシュールです。
目を閉じて口を半開きにしている子豚の手足を縛ってオーブンに入れて……という作業は、日本人にはハードルが高いかもしれません。一方、地中海に面した中東部のバレンシアでもまだミルクしか飲んでいない子羊をオーブンで焼きますが、ラム肉の場合は頭がなく、足の部分をローストするだけなので、こちらは気楽に調理できます。
前述のバスク地方でも同じように子羊や子豚などを食べますが、それはクリスマス当日、25日のランチメニュー。イブのディナーはアンコウのオーブン焼きを作る家庭も多いようです。スペインのアンコウは日本のアンコウより脂分が多いので、オーブンで焼くと肉厚ながらしっとりやわらかく仕上がります。
バルセロナはイブではなく、クリスマス当日のランチを楽しむ
バルセロナを州都とするカタルーニャ州では、イブのディナーではなくクリスマス当日のランチを家族で囲みます。25日のオードブルは他の地方と同様ですが、この日の主役はクリスマススープ。香味野菜、豚骨、牛骨、生ハムの骨、鶏ガラ、骨つき肉など、何種類もの肉、骨、野菜がたっぷり入ったスープを何時間もかけて煮込みます。
1品目として、このスープに「ガレッツ」と呼ばれる貝殻型の大きなパスタを入れていただきます。そして2品目は、スープを作る時に一緒に茹でた大きな肉団子やジャガイモ、ニンジン、ヒヨコ豆などを別皿に。これらにちょっと高級なバージンオリーブオイルをかけて、バゲットと一緒に食べるのがおすすめです。
ちなみに、カタルーニャ州ではクリスマス翌日の26日も祭日。この日はスープに使ったお肉や野菜を具にして、ベシャメルソースとチーズをかけてオーブンで焼いたカネロニ(円筒形のパスタ)を食べるのがお約束です。
もちろん、家庭や懐事情によりメニューは異なりますが、おいしいものを食べるのは世界共通で幸せになれる一番の近道。今年のクリスマスもスペイン人と同じように、おいしく食べて幸せになりましょう!
(山本美智子/Michiko Yamamoto)
山本美智子(やまもと・みちこ)
東京生まれ。清泉女子大学でスペイン語を専攻した後、外資企業の総合職に就職も、一度は海外に住みたいとの夢を捨て切れず、バルセロナ大学へ語学留学。現在はスペイン独立主義の伴侶とともに、バルセロナ郊外で生活中。日本のメディア及び地元のサッカークラブ向けの翻訳、通訳、執筆、取材、コーディネーション、インタビューなどのサービスに従事。最近の趣味はヨガと料理。癒やしは保護センターから引き取ってきた2匹の猫。