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門松や鏡餅を飾るなら28日までに? 今さら聞けない正月飾りの基礎知識
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それぞれの正月飾りの意味とは
○門松
年神様が降臨される時の目印として、家の門脇や玄関の前に飾られます。松は神が宿る木と考えられ、古くは一本松を置いていました。江戸時代になると、松に3本の竹を立てて梅の枝をあしらった門松が現れ、左右一対で飾られるようになったそうです。曲がることなく節がまっすぐに伸びる竹は“早い成長”を象徴するめでたいもの、気品ある香りの梅は古来より縁起物とされてきました。
竹の存在感が強い見た目ですが、主役は松です。神様が「待つ」という意味も込められています。近年は住宅事情に合わせ、省スペースでも飾れる略式の門松も。ほどよい長さに切った松の枝の根元に半紙などで巻き、紅白や金銀の水引で結んだものを、玄関の壁などに飾ります。
○しめ縄・しめ飾り
年神様を迎えるのにふさわしい空間を作り出すものが「しめ縄」。藁を左ねじりで編んだ縄に、紙垂(しで)と呼ばれる魔除けの意味を持つ紙を下げたものです。神聖な場所と外界を分ける役割を持つと言われ、その由来は「古事記」までさかのぼるといいます。
一般の家では「しめ飾り」です。飾ることで、年神様を迎える神聖な場所であることを示すとされています。元々はわらを輪状に編んだだけの質素なものでしたが、ダイダイやエビ、稲穂、扇など縁起物を合わせる地域も。昔は一家の長が玄関をはじめ床の間、台所やトイレなど家の中に飾ることが習わしでしたが現在では簡略化され、玄関のみが主流になりました。
○鏡餅
「鏡餅」は年神様にお供えする神聖な食べ物とされてきました。大小2つの餅で太陽と月を表し、重ね合わせることで、福徳が重なり、円満に暮らせるという意味も込められています。名前の由来は昔の銅鏡のような丸い形をしていることとも。現代ではリビングなど家族が集まる場所の棚の上などに飾ると良いでしょう。
一般的な飾り方と道具の名称は以下の通りです。
三方(さんぼう・さんぽう):三面に穴が開いた木の台
四方紅(しほうべに):三方の上に敷く赤い縁取りがされた紙
橙(だいだい):重ねた餅の上に置く柑橘類。子孫繁栄を意味する
この他シダの一種で葉の表が緑で裏が白の長寿を願う「裏白(うらじろ)」や家系が続くことを表す「ユズリハ」、「喜ぶ」にかけた「昆布」、幸せを「かきとる」意味や剣に見立てたという「串柿」などの縁起物を一緒に飾ることも。各家庭や地域によって特色があるようです。
いよいよ年の瀬も押し迫ってきました。早めの準備で気持ち良く新しい年を迎えましょう。
【参考】
「日本のしきたりがまるごとわかる本」(晋遊舎)
「日本のたしなみ帖 縁起物」(自由国民社)
「日本の365日を愛おしむ―季節を感じる暮らしの暦」(飛鳥新社)
(鶴丸 和子)
鶴丸 和子(つるまる・かずこ)
和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
インスタグラム:tsurumarukazu