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エリザベス女王 サファイアのブローチに込めたフィリップ殿下への思い
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4月に最愛の夫であるフィリップ殿下を亡くし、10月には体調不安で公務を一時取りやめるなど、心身ともに困難な1年を過ごしたエリザベス女王。そんな中で25日に放映された毎年恒例のクリスマススピーチには、殿下への思いなど女王の個人的な感情も含まれていた。英メディアはその象徴として、女王の左胸に輝いていたサファイアのブローチにも注目している。
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机に置かれた殿下との結婚60周年記念写真の中でも同じブローチを着用
在位70年の祝賀行事「プラチナジュビリー」を来年に控える中、フィリップ殿下の逝去で深い悲しみに暮れたエリザベス女王。10月下旬には予備検査で一晩入院し、11月に入ってからは腰の不調で重要公務を取りやめるなど、国民の心配も大きかった1年だった。
新型コロナウイルスの変種・オミクロン株が英国全土で急速に広まったことを受け、当初予定していたサンドリンガム領でのクリスマスも中止。25日朝にウインザー城の聖ジョージ礼拝堂で執り行われた礼拝も欠席した。一部報道によると、この礼拝ではチャールズ皇太子夫妻が王室メンバーの軸になっていたという。
しかし、もう一つの恒例であるクリスマススピーチは、先に収録されたものが25日午後に英公共放送BBCと英民放ITVで放送された。今年は殿下が亡くなって初のスピーチ。通常は1年を振り返ることが多い内容だが、今年は殿下への思いを随所に忍ばせるものとなった。
まず、応接室の机の上には殿下と笑顔で見つめ合う女王の写真が。さらに、「アンジェラ・ケリー」の赤いエンボスウールシフトドレスを着た女王の右胸には、菊をモチーフにしたサファイアのブローチが着けられていた。
複数の報道によると、この写真は2007年に60回目の結婚記念日を記念して撮影されたもの。またプラチナをベースとしてサファイアとダイヤモンドで作られたブローチは、1946年に海運会社から贈られた品だという。女王にとってはブロードランズのカントリーハウスで過ごした同年の新婚旅行の際や、今回机に置かれていた写真でも着けていた思い出深いアイテムだ。
そしてスピーチでは、冒頭で「多くの人にとってこの時期は大きな幸せと楽しい時ですが、愛する人を失った人にとってクリスマスは困難な時期です。私は今年、特にその理由を理解しています」と殿下を亡くした悲しみを吐露。それでも、英国や英連邦、諸国から寄せられた殿下の人生と業績への賛辞によって、大きな慰めを得たと続けた。
「しかし、人生はもちろん、たくさんの出会いだけでなくいくつもの最後の別れによって成り立っています。私と私の家族が彼(フィリップ殿下)を恋しく思うことと同じくらい、彼(フィリップ殿下)は私たちにクリスマスを楽しんでほしいと思っているはずです」
この他にも、殿下から受け継がれたバトンの1つとして、気候変動に対する働きかけを挙げ、チャールズ皇太子とウイリアム王子がそれを拡大したことを「誇りに思う」とも述べる箇所もあった。
いつまでも殿下に対する尊敬と感謝の念を持ち続ける女王。「6週間後の2月、私のプラチナジュビリーの年が始まります。世界中の人々が一体感を味わい、過去70年間の大きな変化に感謝する機会になることを願っています」と世界に向けて今後への期待も込めていた。
(Hint-Pot編集部)