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ドイツの大学受験に“一発逆転”はない!? 始まりは小4 教育制度の土台にある考えとは
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大学入学共通テストが1月15日と16日に行われるなど、本格的な受験シーズンが到来しました。日本の大学入試といえば、ドラマや映画などで描かれるように“一発逆転のチャンス”といったイメージもありますよね。ただ、海外にはそうした余地が初めからほとんどない国もあるようです。「Hint-Pot」は今回、ドイツの大学進学事情に注目。現地在住ライターの中野吉之伴さんに、小学校から進路選択が始まるという驚きの教育制度について教えていただきました。
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進路選択のタイミングは小学校4年生!? 大学進学に“資格”が必要なドイツ
ドイツの大学には入試がありません。だからいわゆる“受験勉強”がなく、受験に向けて塾や予備校に通う必要も基本的にないのです。
日本の方にそんな話をすると、「どうやって入学するの? 内申点だけ? 塾とか行かなくて大丈夫?」と皆さん驚かれます。ドイツで大学入学に必要なのは「アビトゥア」と呼ばれる大学入学資格。そしてこの資格は、大学進学を前提とした中高一貫進学校「ギムナジウム」で卒業試験に合格すると取得できるんです。
聞き慣れない言葉なので、順を追ってご説明しましょう。
まずドイツの小学校は4年生まで。5年生の段階で最初の進路を決める必要があります。いくつかある進路の中で大学進学を目指すのであれば、ギムナジウムへの進学が一般的なルート。今でこそ、「レアルシューレ」(事務職員や公務員などを養成する6年制の中等学校)に行っていた子がギムナジウムに編入して大学進学を目指せるようになってきていますが、以前は一度進路を決めたら他系統の学校に編入することはできないとされていました。
となると、ドイツの子どもたちは小学校4年生になる10歳の段階で、もとい、その途中までには進路を決めなければなりません。9歳にもなれば、人生において最も大事な決断の一つを迫られるわけです。
まったく、聞いているだけで胃が痛くなりますよね。だって9歳の子どもが「将来、大学に行くんだ」なんてイメージできない方が普通なわけですから。「子どもの意見も反映して」と言いたいところですけど、やはりそこには親の価値観が反映されることがどうしても多くなります。そのため、ギムナジウムへ進学する子どもたちの親の多くは、自分たちもギムナジウム出身というデータもあるのです。